Ju te veux
※
There is no one but you.と繋がっています。
「俺も好きだよ、バーナビー」
嘘だ、そんなはずがない。
僕が想っている好きと、あなたの好きは違うんです。
おじさんはいい加減だから、流されているだけなんですよ。
様々な抗議の言葉が頭の中に浮かんで、けれどそれらを口にする前に唇を塞がれた。
半開きだった唇に、ぴたりと唇を押し付けられて無遠慮に舌が押し込まれる。
逃れようにも後頭部をがっちりホールドされていて身動きが取れない。
その上、口内を動き回る舌に上顎を擦られてバーナビーの身体が震えたのに気付いたのか、虎徹はそこばかりを執拗に攻めてくる。
時折バーナビーの舌にも触れてきて、側面を舐められるとまた、身体が震えた。
どのくらいの時間、そうしていたのだろう。
とても長く感じられたキスが終わる頃にはもう、悪態をつく気力もすっかり失せ、ようやく唇が離されるとゆっくりと瞼を開いた。
僕は今、酷い顔をしているに違いない。
それでも構わない、欲に濡れた瞳で目の前の相手を見つめた。
「……なんて顔するんだよ」
眉尻を下げたおじさんの唇が、互いの唾液で濡れていて。
僕を見つめ返してくるおじさんの瞳も、僕と同じで欲に塗れている。
好きだなんて、そんな言葉を簡単に受け入れられるほど、僕は純粋でも素直でもない。
だけど今この瞬間、あなたが僕と同じ気持ちなのはわかった。
「なァ、もう一回、いいだろ?」
頭をくしゃりと撫でられて、黙って頷いた。
途端、視界が反転する。
おじさんの顔と、天井が見える。
「さっきみたいなのもいーけど、俺にも触らせろよ、バニー」
顔に触れられて、その手が首筋へと滑る。
指先で首筋から鎖骨を撫でられ、くすぐったさと穏やかな快感にバーナビーが首を竦めると、虎徹は首筋へと顔を埋めてきた。
首筋を下から、耳の裏側へとゆっくり舐め上げられる。温かな、濡れた感触が首筋を這っていくのは、先程指で触れられたのとは段違いの刺激で思わず声が漏れた。
「んぁッ…」
それは女みたいな高めな声で、バーナビーは口元を押さえ視線を反らせた。
「かわいー声、もっと聴かせて」
顔を横に向けたせいであらわになった耳を舐められた。
ゾクゾクと身体が震えるのを抑えられない。
こんな感覚を、僕は知らない。
「どーしちゃったの、バニーちゃん。さっきまではあんなに積極的だったのに」
濡れた耳元に、低い声で囁かれた。勿論、わざとに違いない。
悔しい。悔しいが、感じてしまってたまらない。
「……主導権を握られるのは、苦手なんですよ」
軽く睨んで反論してみたが、おじさんは嬉しそうに目尻を下げただけだった。
「かわいいな、ホント」
こめかみにキスを落とされた。
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