Rain stops and a rainbow comes out.
1.2.3.4.5.6.7.8


バーナビーの言葉に、虎徹は文字通り飛び起きた。
虎徹が勢い良く顔を上げると、驚いた表情のバーナビーと視線が合う。
先に口を開いたのはバーナビーだった。

「……びっくりした。そんなに僕にキスされるのが嫌でしたか?」
「なっ……!」

顔を赤くし慌てる虎徹に対し、バーナビーはクスリと笑う。

「冗談ですよ、するわけないでしょう。おはようございます、虎徹さん」
「お、おう……、おはよ、バーナビー」

虎徹が慌てたのには理由があった。
昨夜、虎徹は眠っているバーナビーにキスをしたのだ。
何故そんなことをしたかと問われれば、魔がさした、としか答えようがない。
バニーの寝顔は可愛いくて、顔を寄せるといい匂いがした。
熟睡していて起きる気配はなかったし、もし万が一キスをしたことがバレたとしてもそんなに怒りはしないだろうと思った。
酔いも手伝って、虎徹は本能の赴くままにキスをしたのだ。
バニーの唇は思いの外柔らかくて、俺はつい夢中になった。啄んだり、甘噛みしたり。
やがてバーナビーから小さな声が漏れ、そこで俺はようやく我に返ったのだ。起こしてしまったんじゃないかと、心臓が五月蝿いくらいバクバクと鳴る。
しかし、虎徹の心配は徒労に終わり、バーナビーが目覚めることはなかった。
その後盛大な自己嫌悪に陥り、ヤケ酒しているうちに眠ってしまったらしい。
バーナビーに揺さ振られた辺りから、実は虎徹は覚醒していた。
けれど、昨夜のことをバーナビーが万が一でも覚えていないか不安で、寝たふりを続けていたのだ。
そこに、キスしますよ、なんて言われたのだ。たまったもんじゃない。
しかし、どうやらバーナビーは冗談で言っただけで、昨夜のことは覚えていないようだ。
虎徹は心底ホッとした。

「……どうかしましたか?」
「いや、何でもねーよ」

大きく伸びをして丸まっていた身体を伸ばすと、何事も無かったふりでバーナビーに笑顔を向ける。

「腹減ったなァ。なんか食いに行こっか、バーナビー」
「はい」

屈託のない笑顔を向けるバーナビーに、俺は少しだけ心が傷んだ。



.
[戻る]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -