Rain stops and a rainbow comes out.
1.2.3.4.5.6.7.8


浴室からシャワーの音が聴こえてきて、虎徹は大きく息を吐き出す。

「……ったく、ヤバいだろ……バニーは男だぞ」

同性の、元・仕事上のパートナーに欲情するなんてどうかしている。
興奮したせいか、雨に濡れ感じていた寒さはもうすっかり薄れていた。
頭を抱え、壁にもたれながらずるずると床へしゃがみこむ。
ネクタイを緩めようと首元に手をやると、左手に光るリングが視界に入った。
手を前へとかざし、ずっと身につけているせいで身体の一部のようになってしまっているリングの鈍い光を眺める。

俺はゲイじゃない。
それに、今でも友恵のことを愛している。
この部屋を手放すこともできなければ、この指輪を外すこともできない。
俺の中で友恵の存在はとてつもなく大きな物だ。
彼女が亡くなって6年が過ぎた今もなお。

「……欲求不満、なんかなァ」

きっと、そうに違いない。

寒さは薄れたとはいえ、濡れたままの服が張り付いている感触は不快で虎徹は服を脱ぎ出した。
脱いだ服と濡れたタオルを洗濯機に入れ、下着姿のままバーナビーの服も手に取る。

「……たっかそーな服。洗濯して平気か?これ」

結局バーナビーの服を洗うことは諦めて、ハンガーに掛けて部屋干ししておくことにした。

一通り片付けを済ませると、ソファに脱ぎ捨ててあったシャツを羽織った。下着姿のままではさすがに肌寒い。
キッチンへと向かい冷蔵庫の中を覗く。
野菜に卵にウインナー、冷凍庫の中から冷凍保存しているライスも取り出す。
作るのは勿論、母親に馬鹿のひとつ覚えと言われたチャーハンだ。
虎徹が手際よくチャーハンを作り終えた頃、タイミング良くバーナビーがシャワーを終えてバスルームから出てくる気配がした。
シャワーの後のタオルを用意していなかったことを思い出し、虎徹はドタドタと慌ただしくバスルームへと向かった。

「ごめん、バニー。タオル忘れてたわ」
「あ……、ありがとうございます」

バーナビーはバスルームの中で立ち尽くしていた。
虎徹はタオルを手渡したが、どうにも意識してしまい、まともにバーナビーの裸が見られない。
しかし、ちゃんとに返事をし、身体を拭き始めたバーナビーに少しホッとした。
先程、雨の中で呼び止めた時には本当に様子がおかしかったが、調子が戻ったんだろうか。
裸体を隠そうともしないバーナビーから視線を反らせつつ、虎徹は口を開いた。

「あー、バニー、腹減ってない?チャーハン作ったんだけどさ」



 
[戻る]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -