MISS TIGER
頭をぐっと抑え込まれ、喉奥にどろりと温かな感触が拡がる。
ようやく終わりが来たのだとわかり、ふわりと身体の力が抜けた。
崩れ落ちそうになった身体はバーナビーに抱きかかえられ、虎徹はベッドの上に転がった。
喉奥にへばりつく体液を唾液と一緒に飲み込んで、ようやく大きく息を吐く。
無理に開かされた顎の付け根が痛くて、虎徹はマッサージしながら涙の滲む瞳でバーナビーを睨みつけた。
文句を言ってやりたいが顎がだるくて喋るのも辛い。
「すみません、あんまりかわいいから、つい」
辛かったですか?と、髪を撫でられ目元の涙を唇でちゅっと吸われた。
口先では謝りながら、バニーはにこにこと微笑んでいる。その微笑みに俺は少々カチンときた。
「……ちっとも、優しくねぇよっ!」
唇へもキスを落そうとしてきたバーナビーの顎をぐっと押し返してやった。
優しくするって言ったくせに!
「うっ……」
拒まれたバニーは首を傾げ、それからまた微笑んで俺の頭を撫でてきた。
虎徹はバーナビーの手を払い拒んだが、胸の中に抱きすくめられ宥めるように後頭部を撫でられるうちに、湧きあがってた怒りはどこかへいってしまった。
後頭部を撫でていたバーナビーの手が肩へ、背中へと流れていく。
背骨を指先で辿られると、ぞくぞくとしたものが背筋を這い上がった。
「ふぅ……、ンッ」
思わず鼻にかかった吐息が漏れる。
「背中、弱いですよね。それに、耳も」
「あアッ……!」
パクリと口の中に耳を含まれて高い声が上がった。
舌先で耳の襞をねとりと舐められて身体がぞくぞく震えだすのが止められない。
バーナビーの首に腕を回して抱きついて必死に耐える。
「あっ、あ……、それ、らめ、ばにーちゃ……」
虎徹の身体からくたりと力が抜けた。
そのままベッドに押し倒し、上へとのしかかる。
耳から首筋へと唇と滑らせて、虎徹が声を上げた所は何度も舌先を往復させて責め抜いた。
鎖骨に歯を立てると虎徹から小さく悲鳴が上がったが、そのままきつく噛み付いた。
頭を押して拒まれたがバーナビーの粘り勝ちで、皮膚にうっすらと残った噛み痕に満足そうに目を細めて舌先で愛撫した。
「……おま、痕付けるなって……」
仕事柄、上裸くらいは人に見られることが多い。着替えやらメディカルチェックとか。
バーナビーに関しては雑誌のグラビア撮影なんかもあったりで、だからお互いの肌には痕を付けないというのが暗黙の了解なのだ。
それなのに。
「すぐに消えますよ、少しくらい許して下さい。本当は誰にも、あなたの裸なんて見せたくないんです」
「よく言うよ、自分はグラビアなんかやっちゃうくせに……うァ」
途中で虎徹の声が裏返ったのは、バーナビーが乳房の先端を口に含んだからだ。
先端部分をぱくりと口に含んだまま、乳輪部分を舌の先でなぞられる。
最後に乳首を吸われちゅぱっと音と共に唇を離されると、虎徹の背中はぐっとしなった。
「ン、あっ」
唾液で濡れる唇を手の甲で拭い、バーナビーは虎徹の唇にキスを落とす。
「……グラビア、嫌ですか?」
「えっ?」
「僕の裸、他の人に見られるのは嫌ですか?虎徹さんも?」
「……そりゃ、いい気はしねぇよ……」
ためらいながらも、正直に答えた。
そりゃ俺だって、バニーの裸を俺以外のやつに見られるのはいい気がしない。
バニーは俺のなんだぞって、言いたくなる。
「……わかりました、今度からはああいう仕事が来たら、虎徹さんに相談します」
「なっ……」
「嬉しいです、僕ばかりが虎徹さんのことを好きなのかと思ってました」
バーナビーは上機嫌で笑い、甘えるみたいに虎徹の乳房に頬を擦り寄せた。
悪い気はしなくて、くしゃくしゃとバーナビーの髪を撫でる。
「なんだよ、俺だってちゃんと好きだよ、お前のこと」
「嬉しい。僕も大好きですよ、虎徹さんのこと」
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