MISS TIGER
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13


止まらなくなると解っていたから堪えていたのに、バーナビーの自制心は虎徹によって吹き飛ばされてしまった。
甘い口づけなどではない、噛み付くようなキスを繰り返す。
薄目を開いてみれば、虎徹の顔が苦しそうに歪み、目の端から涙を流しているのも見えた。
それでも、舌を伸ばして添わせれば虎徹もバーナビーの舌をなぞってくる。
ざらりと擦れ合う舌は、味などしないはずなのに甘く感じるのだから不思議だ。
貪ることに夢中になってしまう。

「っぷは、……も、苦し……」
「……自分から、誘ったくせに、泣き言ですか」

キスだけで、互いに息が上がっていた。
けれど再びバーナビーが虎徹の唇を塞ぐ。

「んっ、んぅ……」

キスを続けながら、バーナビーは虎徹の身体のラインを撫でていく。
遮る物が無くなった胸元では、突起が立ち上がり過敏になっている。
そこを掌でさらりと撫でて胸の膨らみを揉みしだいた。
感じるのだろうか、虎徹が身体をくねらせる。
バーナビーは自分がストレートだとか、ゲイだとか意識したことはない。
女の子のことは普通にかわいいと思うし、きっと自分はストレートなんだろう。
けれど、キスをしたのも身体の関係を持ったのも、虎徹が初めての相手だった。
一回り以上も年上の、女性的な所なんてかけらもないただの中年男なのに、どうしようもなく惹かれた。
片手で胸を揉みながら、片方の手を腹部へと手を滑らせる。
身体を鍛えているせいか年齢の割に細い腰は、女性の身体になった今、いつもよりさらに細くくびれている。
撫でると虎徹の身体が波打った。

「は……、バニーちゃ…」

虎徹の半開きの唇の端からはだらしなく涎が垂れていて、顔を寄せてそれを舐め取ってやる。

「涎なんか垂らして、だらしないですね、おばさんは」

バーナビーは虎徹のウエストへと手をかけた。
邪魔なベルトを外し、ファスナーも下ろしてしまう。
下着とパンツを一緒に掴むとそのまま下へと引いたが、その手は途中で止まった。

「ちょっと……、虎徹さん?」

いつもなら虎徹は、腰を浮かせて脱がせることに協力してくれるのだが、今日は違った。
腰を浮かせないだけでなく、バーナビーが脱がせようとした下着を上へと引き上げている。

「……何してるんです?脱がないと続き、できないじゃないですか」
「だって……、なァ?」

はっきりと口にしたくはないのか、虎徹は言葉を濁らせたが、早く先の段階へと進みたいバーナビーは虎徹に妨害されたことが気に入らない。
虎徹の手を掴むと力ずくで下着から引き離した。

「痛っ…」

虎徹の掌は思いの外あっさりと外れた。いつもより腕力がないのだ。
痛がる虎徹の手はすぐに離したが、再び妨害される前に素早く下を脱がせてしまう。

「すみません、でも僕ももう限界なんです」

バーナビーは確かに限界なんだろう。
普段ならば、少し指で慣らしてもらえばバーナビーを受け入れることができる。
そういうふうに、身体が作り替えられてしまった。
しかし今日は勝手が違う。
虎徹はヒーロースーツを脱いだ後、シャワーを浴びる際に自分の身体をくまなく検分した。
その際に確認したので間違いない、俺の身体は処女だ……。

「あの、さ……、バニーちゃん」

バーナビーの手は虎徹の膝から太腿を撫で回し、閉じられた足を左右に割ろうとしていた。
今の所閉じているが、開かれてしまうのは時間の問題だろう。
バーナビーとの初めての行為が、苦い思い出として脳裏に浮かぶ。
今でこそ、慣れたこともありバーナビーとのセックスは気持ちがいい。
けれど最初のセックスは散々だった、痛かった記憶しかない。
虎徹は意を決して口を開いた。

「……バニー、俺、処女なんだわ……」



 
[戻る]

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -