MISS TIGER


しかし、今日のおじさんは違う。
恥じらっている姿なんて、本当に久しぶりだ。
ゴクリと、興奮で口の中に溜まった唾液を飲み込んだ。

「……あまり、煽らないで下さい」
「っ…、煽ってなんかねーって」

目隠しをしてきた虎徹の手首を握り、目許から剥がすと掌の中央を舌先を尖らせ舐め上げた。

「うっ……」

虎徹が小さく声を上げて肩を竦める。
バーナビーは思わず舌なめずりをした。

「無自覚なんですか？ほんとに、あなったって人は……可愛いですね、おばさんのくせに」
「……おばさんて」

意地悪を言えば案の定、虎徹の眉尻が下がり情けない表情になる。
バーナビーはこの虎徹の困り顔が好きで、ついつい意地悪を言いたくなるのだ。

「おじさんが女になったんですから、おばさんでしょう？」

バーナビーに舐められた手を引っ込め、虎徹は自分の上に覆いかぶさる相手を見上げながら唇を尖らせた。

「そりゃ、バニーからしたら若くはないけどさあ、……ンッ！」

バーナビーの手が再び虎徹の胸元へと触れる。
シャツの上から乳房を揉むと、布地に擦れるのだろう。バーナビーは虎徹の胸の先端が徐々に尖ってきたのに気付いた。

「ここ、硬くなってますよ、気持ちいいんですか？」

布地越しに親指の腹で乳首を撫でてやると虎徹の頬が赤く染まる。

「んァ、聞くなっつーの……」

羞恥に耐え切れなくて、虎徹は己の腕で目許を覆った。
バーナビーの喉がゴクリと鳴る。
何度も言うがこんな初な反応を見せる虎徹の姿は久し振りで、じっくりと堪能したいと思う反面、バーナビーのジュニアは既に暴走寸前だった。
今すぐにでも虎徹さんの中にぶち込んでしまいたい。
沸き上がるその欲求をどうにか抑えようと、バーナビーは上から順に一つずつ虎徹のシャツのボタンを外していった。

「はっ……、バニーー……」

バーナビーは中途半端に触れたまま、なかなか虎徹に触れようとしてこない。
シャツのボタンなんて、そんな丁寧に全部外す必要はないのに、わざわざ１番下まで外すつもりらしい。
……焦らされてる、のか？
挑発しようと名前を呼び身じろぎしてみたが、バーナビーはまだ腹部の辺りのボタンと格闘している。
虎徹が仕返しのつもりで、膝を曲げてバーナビーの股間を撫でるとバーナビーからは小さく声が漏れた。

「うっ、あ……」

バーナビーの股間ははち切れんばかりに膨らんでいた。
虎徹の口角がクッと上がる。

「なァんだ、バニーもヤバいんじゃねーの？」
「……だから、煽るなって言っているでしょう……」

前髪で隠されて、虎徹からはバーナビーの表情は見えない。
しかし、いつもは白い頬が朱く染まっているに違いなかった。

「だぁーって、バニーがなかなか触ってくんねぇから……、あっ…！」

虎徹のモスグリーンのシャツを、バーナビーは左右に引いた。
まだ外されていなかったボタンが床へと飛び散ったが虎徹はへらりと笑い、バーナビーの頬へと触れる。

「あーあぁ、後でボタン付けてよ？」
「……虎徹さんが悪いんですよ」

すっかり雄の表情をしたバーナビーの顔が近付いてきて、虎徹は満足げに微笑みながら瞼を閉じた。
最初から遠慮なく舌を押し込まれて、口内を蹂躙される。
舐められてない箇所はないのではないか、というくらい口の中をバーナビーの舌が這い回り、虎徹の口端からはだらしなく唾液が溢れた。

「ンッ……、はっ……」

酸素を求めて唇を離しても、またすぐに塞がれる。苦しさに、バーナビーの胸板を押してみたがびくともしなかった。
これが男女の力の差なのかと今更ながらに気付き、虎徹は初めてバーナビーに恐れを感じて煽ってしまったことを後悔したが後の祭りだ。
唇が離れた隙に視線が合うと、すっとバーナビーの瞳が細められた。

「……覚悟して下さいね、おばさん」



←　→