明け前
虎→兎


※9話ネタ


ふと、覚醒した。
と言っても、瞼はまだ開けてはいない。
覚醒はしたけれど起き上がるのが面倒で、そのまま再び心地好い眠りの中に落ちようかと意識を手放しかけた。
が、身体の節々が痛いような、ついでに結構な尿意も催して渋々薄目を開いてみる。
そこは俺の部屋ではなかった。
かと言って知らない場所ではない。俺は何度か此処に来たことがある。
急速に眠気が遠退く。
そうだ、ここはバニーちゃんの部屋だ。
ガバッと、勢い良く起き上がる。頭がガンガンしやがるけれどそれどころではない。
俺は、いや俺達は床に転がって寝ていたようだ。酒の瓶と共に。
少し離れた所で転がってるバニーちゃんの姿を見て、無意識に目元が緩んだ。
あのバニーちゃんが、酔っ払って床に転がって寝てる、なんて。かわいいじゃねーの。

「よっこらせ、と」

バニーちゃんを起こさないよう、できるだけそっと立ち上がる。
外はもう暗闇ではなく、グレーと青が混ざったような色合いだが起き上がるにはまだ早い。

トイレを済ませて部屋に戻り、相変わらず床で熟睡してるバニーちゃんを見て微笑みが浮かぶ。

「かーわいい」

今度は声に出して言ってみる。
眠ってるバニーちゃんはかわいい。
いや、最近は起きてる時もかわいい。前に比べると本当にかわいくなった。
まあかわいくねー時の方が圧倒的に多いんだけども。
寝顔をもっと良く見たくなって、少しバニーちゃんに近付いてみる。
ちらりと扉の方に視線を向ける。
大丈夫、ドラゴンキッド達は良く眠ってるはずだ。
俺は更にバニーちゃんに近付く。
相変わらずバニーちゃんは目覚める気配はない。
そのまま吐息が触れる距離まで顔を寄せ、そっと唇を重ねてみた。瞼は閉じずに。
バニーちゃんの反応はない、規則正しい寝息を立てたままだ。

俺はバニーちゃんから離れ、さっき寝ていた辺りの床にごろりと横になった。
外は段々とグレーより青が色濃くなってきている。
けど、起きるにはまだ早い。

「おやすみ、バニーちゃん」

聴こえているはずのない相手にそう呟いて、俺は瞼を閉じた。






1番最初に書いたタイバニ小説。もうこの9話辺りから私の眼鏡がパーンッしました。



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