※学パロ
※病んでる
学校で比較的人通りが少ない、日当たりの悪い場所に夏目さんが踞っていた。社会科の準備室。準備室の床は不自然にも濡れており、夏目さんもびしょ濡れ。
僕の姿を見ると、夏目さんは怯えた目で僕を見た。
「どうしたんですか?こんなところで」
僕からの質問に夏目さんの肩がビクリと動いた。目を泳がせ口をぐっとつぐむ。
(まあ、見れば分かるけど)
「誰に、やられたんですか?」
「ウォーカーくんには関係ない」
「関係なくないですよ。女の子がこんな所で、しかもびしょ濡れだし。ほら、これ着てください」
そっと夏目さんの肩に僕のブレザーをかけてあげた。
影のあった目に、少し、光を灯したように見えた。けれど、その反動か、花子さんは泣き出してしまった。
ポロポロと溢れる涙は綺麗でキラキラしていた。思わず、その泣き顔に見とれてしまいそうになった。
「大丈夫ですよ。僕が傍にいますから」
そっと夏目さんを包み込む。冷たく濡れたシャツが、僕のシャツも濡らしてきた。けれど、その分、この僕の体温が夏目さんを温める。なんだか一つになった気分だ。
「ごめ………ん、なさ……い。少しだけ……顔、見ないで…泣き止むまで……」
「大丈夫です」
小さな夏目さんの頭を撫でてあげる。さらさらとした髪は指通りがいい。濡れているせいなのかシャンプーの香りがこもる。嗚咽混じりに謝るも、夏目さんは僕を拒むことはしなかった。むしろ、抱きついてきてくれた。
「僕は、貴女の味方です」
貴女に近づく全てを排除するために、貴女が僕しか頼れなくするために。
貴女が今ここにいて、泣いて汚れているのは、僕の予定調和。
「大好きですよ」
そのくすんで汚れた顔で泣きわめく、貴女が。
title:花一匁さま
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