※近親相姦




どうして、私はこの人の妹なのだろう。同じ胎内から産まれたというのに、全く似ることがなかった、双子の兄はとても影が薄い。唯一は髪の色。それ以外はどこも似ることはなかった。つまり、共通点はそれだけ。性格も髪以外の容姿も全て違う。

けれども、血は確かに繋がっている。


「花子、どうしたんですか?元気ないですね」

「ううん、そんなことないよ。お兄ちゃんは心配症だね」

わざと”お兄ちゃん”というと、その言葉が気に食わなかったのか、彼は一瞬だけ眉を潜めた。

「お兄ちゃんって言うの止めてもらえますか?」

ソファの真ん中に座っていたのに、彼が私を覗きこんでくるから、私は少しずつソファの端に追いやられていく。彼はぐいぐいと近づいてくる。距離にして30センチ。近過ぎて彼と目あわせることができない。


「テツは”お兄ちゃん”でしょ」

きっとお風呂上がりだからだ。顔が火照るのは。彼の視線のせいじゃない。きっと、きっと。テツ、貴方の目は、妹に向ける目じゃないわ。

「僕は、」

ああ、ダメだよ。それ以上は、

近づいてくる彼の肩をぐいっと押し退けて私はリビングから出て行った。
彼の肩が簡単に退けれたのは、きっと彼の最後の優しさだ。



「どうして」

君の隣にいれないのでしょうか。


title:joyさま


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