※病んでる 鎖というのは目に見える分、まだ優しいと思う。 今がいつなのか、もう分からなくなってしまった。微かに、カーテンの隙間から光が差し込む。まだ太陽は出ているらしい。 ここに来て何日目かの今日は、昨日と変わらない。ただ、整然とした白い部屋にぽつりと座っている。眠ってしまえば、この歪んだ現実から逃れられるのに、もう充分に睡眠をとった身体は眠ることを許さない。 近くにある扉はきっと鍵はかかっていない。何度か出ようとした。けれど、その度に扉の向こうにいる彼に見つかってしまう。そして、静かに部屋に戻される。もういい加減諦めてしまった。 やっぱり、痛いのは嫌から。 ふと思い出して自嘲気味に笑った。恐怖よりも、この状況を受け入れてしまった自分への同情と悲しみだった。 扉の向こうから足音が聞こえてくる。扉が開くと彼が入ってきた。 「やあ、起きてたの」 にこりと笑う彼に、私も笑う。機嫌がいい彼は、私の頭を撫でる。 そして、私の首筋に顔を埋めて沢山のキスをする。 呪文のように愛してると繰り返す彼に、私はただひたすらに肯定の言葉を繰り返す。 「赤司くん、愛してる」 貴方が飽きるまで、私はここで人形ごっこを続ける。私は、傍にいるからね。 title:裁判と眠りさま 慰めと惑わす温度 |