それすら魔法であるなら
きらきらした包装紙と、華やかなリボンで溢れていた。みるからに開けられていない、誰かの為に作られていたそれらは、無残にもゴミ箱に放り込まれていた。中には手紙までついている。宛名には丸っこい字で「及川さんへ」と書かれていた。
「可哀想」
ぽつりと呟いてゴミ箱のビニールを結んだ。中身が透けるやつだから、誰かに見られないうちに捨てに行きたい。いや、私はただの掃除当番だから悪くないんだけれど、やっぱり後ろめたい。
及川くんも及川くんだ。こんな堂々としたところに捨てないで欲しい。
「あ、それ、」
ドキッとした。振り向くと及川くんがいた。私はなるべく目を合わせないようにして距離をとった。
「じゃあ、これもお願いしていい?」
鞄からゴロッと出てきたのはやはり装飾されたプレゼントだった。それいいの?って聞こうと思ったけど、何も言わなかった。
私は無言でビニールの結び目を解き、それらを中に入れ、また結んだ。
「何も聞かないんだね」
またドキリとした。私は頷き、その場を去ろうとした。
「じゃあ、共犯者だ」
大き声ではなかったのに、やけにその言葉が響いた。
振り返りはしなかった。どんな顔をしているかを見てしまうことと、今の自分の表情を見られることが怖かった。
だって、きっと笑ってた。
私も、貴方も。
密かに共犯者と言われた言葉に私は胸が踊ったのだ。
title:かずらさま
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