それでは遠慮なく
※同棲ネタ
ほんの気まぐれだった。
洗濯をたたんでいたときに、彼のワイシャツがやたら気になった。
「やっぱり大きいなあ」
広げて私は自分の肩にかけてみると、すっぽりと収まった。洗いたての洗剤の香りとほんのり残った彼の匂い。
部屋に差し込む夕日と伸びる影、一人じゃつまらなくて流していたラジオ。ぎゅっとシャツを掴んで目を閉じた。
なんだか、早く彼に会いたくなった。
***
「ただいま〜。ん、電気ついてない?まだ帰ってないの、」
か、
手探りで電気のスイッチをつけるとリビングに横たわる影が見えた。白い布に包まれた、俺のお姫様。
「梅子?こんなとこで寝てたら風邪引くぞ」
肩を揺らそうと手を伸ばして気づいた。この白い布、俺のシャツじゃん。
小さく丸まっているからほとんどすっぽりと収まっていて、微かにはみ出した綺麗な肌の足がなんだかいやらしく見えた。無意識にごくりと生唾を飲み込んだ。脳裏によぎる俺の煩悩が理性を押しのけようとする。
たまには、いいかな。なんて。
最近したのいつだっけと考えながら俺の右手はネクタイを外してソファに投げた。
ゆっくりと起こさないように、所謂お姫様だっこをして寝室に向かう。そこで目をこする彼女と目があった。
「え、あ、え、おかえりっていうかなんでだっこされてるの!? 降ろして!」
「え、やだ」
どざりとベッドに降ろされて彼女に覆い被さる。首筋にキスをして肩にまで唇を添わせた。
「ひゃっ、ちょっと、ねえ、待って」
「待ったら逃げるじゃん」
「逃げ、たいけど逃げたら怒るじゃんだからせめてシャワー……」
ぶかぶかの俺のシャツの袖で真っ赤な顔を隠しながら精一杯の抵抗する彼女。その行動一つ一つが愛しくて俺の理性を殺していく。
「ほんと煽るのうまいよね。その気にさせた梅子が悪い。俺のシャツなんて着ちゃってさ」
足の間に素早く入り込み左手でそっと太ももを撫でると、ん、と小さく吐息をもらす。あー、可愛い。右手で俺の胸を押しのけようとするけど、無理無理。こんなの抵抗のうちに入らないって。唇にキスをして、まあ、今日は優しくするよ、なんて思っていたのに、
「だって、さみしかったから……」
その一言が俺の理性にトドメを刺した。
優しくとか、無理だわ。
title:ひかるさま
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