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何となく立ち寄った某ファーストフード店。目の前には美味そうにハンバーガーにかぶりつく名前。既に食い終わった俺は手持ち無沙汰で、残り少ないコーラをストローで啜りながら、肘を付いて目の前の名前をぼうっと眺めた。両手でハンバーガーを持って頬張る姿は中々に間抜け面。時折、ポテトを掴んで、それも美味そうに食ってる。美味くなくはねぇが、特別に美味い料理って訳でもねぇのに、頬を緩ませてこれだけ幸せそうにしてられんのはある意味才能じゃねぇかと最近思う。次々と口の中に運ばれる様を見てれば、その口元に目がいくのは普通だろ。ぱくぱく食うせいで、唇が油でてらてらと光っている。それを舐め取って、またハンバーガーを放り込む。



「爆豪君?」
「あ?」
「いや、そんなに見られると食べづらい……。」



そう言いつつハンバーガーに噛み付きやがって、どの口が言いやがんだ。勢い良くコーラを啜りながら無言で睨み付ける。罰が悪そうに直ぐ様視線を逸らし、恥ずかしいだ何だとぶつくさ言ってるが、早く食い終わらせるためか、残りのハンバーガーを急いで口の中に放り込んだ。必死に口を動かして、ごくりと喉をならして、唇を赤い舌が舐める。その一連の流れを見てっと、無性に抱きたくなる。赤い舌が俺のを舐めてる時の事を思い出すし、口ん中で出した時、苦しそうに何度かに分けて飲み込んでるのを思い出す。必死になってる顔も心なしか似てる気がしてきた。やべぇな。頭どうかしてんじゃねぇか。ごくり、最後に飲み込む様を見届けてコーラを啜ったら、ズズ、とカップが空になる音がした。



「はぁ〜、お腹いっぱい。待たせてごめんね?」
「おう。」
「帰ろうか。」
「名前。」



食ったばっかで落ち着かねぇくせに、気ばっか遣ってさっさと店を出ようとする。待つのが嫌なら最初っからコーラなんて飲んでねぇで帰るわボケが。荷物を持った名前が名前を呼ばれて俺を見下ろす。俺が何を考えてたのかなんて丸っきり分かってねぇし、分かる訳がねぇ。どうせ帰って寝る事くらいしか考えてねぇだろ。この後どうなるかなんて何も考えてねぇ。呼んでおいて黙る俺を不思議そうに見てたから、名前の腕を掴んで早々に店を出た。



「ば、爆豪君?どうしたの?」
「帰んだろうが。」
「そうだけど。私の家こっちじゃない。」
「あ?俺の家に決まってんだろ。」




名前にそのつもりがなくても、俺がその気になってんだよ。何なら今直ぐにでも抱きてぇところを我慢してんだ。家着いたら抱き潰れるまでやってやるからな。後ろで焦ったように声を上げたところで、今更おせぇんだよ。