ヤンデレ束縛変態長谷部



→小スカ注意



本丸に連れて来られたばかりの頃から、長谷部は一番を欲しがっていた。だからこそ、戦場で誉を取り、武功を立てる事に固執しているところがある。お陰で、戦場で拾われて来たばかりの頃は、周囲と上手く馴染めていなかった。そのまま放っておけば本丸内の雰囲気が悪くなるだろうと察した私は、周囲に声を掛けると同時に、長谷部にも目を掛けるように努めた。その甲斐あってか、今では長谷部もだいぶ寛容になり、仲良くやっているように思う。それは私に対する長谷部の態度にも言える事で、来たばかりの頃は作り笑顔しかみせなてはくれなかったけれど、今では、少し怒ったり驚いたり寂しそうに落ち込んでみたり、いろんな表情を私の前でも見せてくれるようになった。だいぶ、打ち解けてきたと思っていたのだが、もしかしたら私の勘違いかもしれない。文机と一緒に縛られた腕を無理矢理動かそうにも、頑丈過ぎて腕が痛くなるばかり。口には布を噛まされているせいで上手く声も出せない。腕を動かしながら、ぎ、ぎ、と木の軋む音が響く。そんな私の様子を見下ろす長谷部を睨みつける。



「怒ってるんですか?嫌ですね。それは俺なのに。」



吐き捨てるように言うと、視線を合わせるようにしゃがみ込んだ長谷部が首筋に思いきり噛みついた。その痛みに体を跳ねさせて呻くが、私の様子など意に介したりせずに噛みついて、長谷部が離れる頃にはすっかり血が滲んでいた。舌先で抉るようにして舐められて、びりびりと痛みが体中を駆け巡る。ふーふー、と獣のような呻き声を上げながら長谷部を睨みつければ、真っ赤な舌を見せつけるように唇を舐めた。



「俺は他の連中の事を別に良しとは思っていないんですよ。気障ったらしく主の髪に触れる奴も、幼い姿を良い事に抱き着くような奴も、全員気に入りません。毎日毎日、主が誰かに靡いてしまうのではないかと気が気ではなかったんです。それなのに、主は俺の事など、まるで意に介してはくださらない。」



特に誰かを贔屓している覚えはない。どちらかといえば、長谷部は目に掛けていた方だと思う。勿論、短刀達のように抱き締めたり手を繋いだりした事ないけれども、それは他の打刀や太刀もそうだ。長谷部だけじゃない。何度も首を横に振り、誤解を解こうとするのだが、それだけで意味が通じる筈もなく。否定の意味を込めて首を横に振る度に噛まれたところが痛んだ。



「んー!んー!」
「主が俺だけと分かって頂けるまで、その紐は外しません。暫く、そのままでいてくださいね。腕を痛めたくないのなら、暴れない事をお勧めしますよ。」



そう言うなり、素早く立ち上がって部屋から出て行ってしまった。

***

きょろきょろと周囲を見回し、ここが長谷部の部屋であろう事は分かった。誰かが来てくれないだろうかと願ったが、今日に限って誰も部屋の前を通ったりしない。何度も腕を動かしたが、緩む気配はなく、ひりひりと痛くなるばかりで、いつしか諦めてしまった。常に口が開いているせいで、詰められている布が唾液で湿る。時計が見当たらず、どれだけの時間ここで放置されているのか分からないが、だんだんと下半身がむずむずしてきた。言い換えるなら、尿意を催してきたのである。膝を立ててみたり、足を真っ直ぐ伸ばしてみたり、いろいろ試してみるものの、時間が経てば経つ程、尿意は増していく。早くトイレに行きたい。妙な冷や汗まで流れ始めた頃、とんとん、と廊下を歩く音が聞こえる。その小さな振動すら今の私には辛いが、早く部屋まで来てくれる事を願った。とん、とん、とん、と一定の間隔で音が聞こえる度に、もじもじと足を擦り寄せる。



「……っ!」
「失礼します。」



とん、と部屋の前で音が止み、静かに障子が開く。失礼しますと言いながらも部屋に入って乱暴に後ろ手で障子を閉めるせいで、びくびくと太股の辺りが震えた。息を詰まらせながら涙目になって長谷部を見上げると、長谷部は口の中に詰められている布を素早くとってくれた。何度か呼吸を繰り返して息を整えてたが、やはりそんな事よりもトイレに行きたい。振動で刺激する事を考えれば、最早腕を動かす事も出来ず、長谷部に縋るしかない。



「はぁ、はぁ、お願い、腕の紐を外して。」
「俺が一番ですか?」
「ねぇ、お願い。トイレに、行きたいの…っ!」



恥も外聞も捨てて頼めば、少し驚いた顔をしてから納得したように頷いた。刀剣だった時間の方が長いから、尿意がもよおす事を考えていなかったのかもしれない。この様子なら紐を解いてくれるだろうと安堵したが、長谷部は顔を近付けて尚も質問を続けた。



「俺の質問に答えて頂けるのなら、厠でもどこでも連れて行きますよ。」
「……っ!」
「主、答えてください。俺が一番ですよね?他の連中なんて要りませんよね?」



確かに長谷部は大事だが、他の子も皆大切だ。順位をつけてどうこうという話ではない。長谷部の望む答えはあげられない。でも、否定したら更に誤解を招きそうだし、紐も解いてはくれなさそうだ。だからと言えど嘘は吐けない。どう言えば長谷部に納得してもらえるだろうか。ぐるぐると考えてはみたものの、どうしても尿意が気になって仕方ない。もじもじと足を擦り、上半身を屈めて何とか保っているが長くはもたない。消え入りそうな声で、お願い、と頼んだが、長谷部は聞く耳を持たなかった。それどころか、私の肩を掴むと無理矢理上半身を起こし、お腹を押してくる。



「ひっ!?だめ、やめてっ!」
「早く答えてください。答えたら厠に連れて行きますから。」
「だめっ!本当に、出ちゃう、からっ…!だめ、だめ、出ちゃう…!」



もう長谷部の質問に答えるどころの話ではない。お腹を押され、我慢の限界に達してしまった。ぷしゃあ、と勢い良く秘部から尿が溢れて服や畳を汚していく。止めようにも、今まで我慢していた分を吐き出すかのように止められない。長谷部が驚いてその様を見ている事が恥ずかしくて、こんな自分が情けなくて、いろんな感情が綯い交ぜになって涙が零れる。驚いているからなのか、長谷部にお腹を押されたままのせいで、暫くしても尿は止まらずに溢れていく。



「ひっ、うっ、うぅ、んっ!み、ないでぇ……!」



許容範囲が限界を迎えて、どうしていいのか分からない。そんな状態で長谷部を見る事も出来ずにいれば、今まで縛られていた腕の紐が外された。何度も抜け出そうと試みたせいで、すっかり赤くなってしまった腕を見ると余計に虚しくなる。私が呆然としていれば、長谷部が私の顔をゆっくりと持ち上げた。うっとりとした表情を見せながら、息を荒げる様があまりにも今の状況と不釣り合いに思える。



「ははっ!これではまるで幼子のようですね。威厳も何もあったものじゃない。人間の勝手も良く分かっていない他の連中が、今の貴方を見たら軽蔑するんじゃないですか?みっともないってね。」
「……そん、な、事……。」
「言い切れますか?出来ませんよね?ですが、俺はそんな貴方も含めてお慕いしています。他の連中のように軽蔑なんて、したりしませんよ。」



私に言い聞かせるようなその言葉に、ひどく安心してしまった。そんな事はないと思っていながらも、実際はどうか分からない。いや、こんな姿を見たら軽蔑するに決まっている。瞼の上に唇を落とす長谷部に腕を伸ばして、子供のように縋りついた。




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