長谷部なら審神者の横で寝てるよ



一度寝るとなかなか起きない癖に、寝るまで時間が掛かる。長谷部はそういう奴だった。何時だったか、同室の陸奥や鳴狐が心配だと漏らしていた事がある。私が命令して無理矢理寝かし付けてもいいのだが、一度命令してどうにかなるものでもない。朝型の人間は朝に強いし、夜型の人間は夜に強い。簡単にその人の特性を変えられる筈もない。かといって、ただでさえ他よりも働きたがりの長谷部が、睡眠不足と過労で倒れたなんていったら大事だ。そこで、長谷部を私の部屋で寝かせる事にした。勿論、監視のためである。最初は顔を真っ赤にしたり真っ青にしたり忙しかったが、今では執務をする私の傍らですやすや眠るようになった。片手で文字を書き、空いているもう片方の手は長谷部が握ったり触ったりと手遊びをしている。



「主はまだ、お休みにならないのですか……?」
「もう少ししたら寝るよ。」
「そうですか。」
「うん。長谷部も早くお休み。」



ぎゅっ、と指と指を絡めて握り込まれる。思わず文字を書いていた手が止まった。長谷部を見れば、重そうな瞼を無理やり持ち上げて私の手を必死に握っている。小さな子が親に縋っているようだ。ペンを机の上に置いて、空いている方の手で長谷部の頭を撫でてやると、重そうにしていた瞼は完全に閉じられ、暫くすると寝息が聞こえてくる。長谷部の習慣を正すためにしている事なのだから、私の仕事が終わるまで待たなくてもいいのに。長谷部が眠ってからも暫くの間、その頭を撫で続けた。




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