光忠の眼帯の下



「光忠君の眼帯の下は怪我の跡があるの?」



縁側で休憩をするのは最早日課みたいなもので、時間の変動はあれど、毎日の楽しみでもあった。時には名前ちゃんと二人だったり、内番の終わった子達と一緒にお菓子を食べたり。そんな時間が僕は大好きで、きっとそれは他の子も名前ちゃんも同じだ。今日はたまたま二人で休憩をする事になって、ぼうっと手合わせをする子達を遠目に眺めていたら、冒頭の台詞を投げ掛けられた。



「どうだと思う?」
「言いたくないなら別にいいよ。」
「そんな事ないよ。ただ名前ちゃんがどう思ってるのか気になるだけ。」



少し罰の悪そうな表情をした名前ちゃんが誤魔化す様にお茶を飲み込む。そんな様子を横目に見ながら、何時もの調子で話を続ける。別に、秘密にするような事ではない。きっと大倶利伽羅や長谷部君は知っている。もしかしたら、薬研君や鶴丸さんも知っているかもしれない。ただ、誰も聞いてこないから言わなかっただけだ。彼女は勘違いをして、聞いてはいけない事だと思い込んでいるようだが。僕の様子を窺うようにちらちらと横目で視線を寄越していると、湯呑みを手に持って庭へと視線を外した。



「怪我の跡かなって思う。」
「どうして?」
「見える目を隠すのは生活を送る上で不便だし、片目の視力が落ちると、それに合わせるようにして目が悪くなるって聞くから。」



今度はしっかりと僕の方を向いている彼女の頭を撫でてやる。片目だけでも伝わるよう、なるべく表情を柔らかくして笑ってみせる。そうすると、彼女は僕の眼帯に触れて、優しく、まるで触る事で痛む事を心配するように撫でた。優しい子だ。その手をとって僕は目を閉じる。この暖かさだけは嫌いになれそうもない。




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