→現パロ三成
→キャラが崩れてる



仕事が長引いたから先に帰っていろ。そう連絡がきたのは、いくらか前で、私は早々に合鍵を使って部屋の中に入った。鞄を置いて、部屋の掃除でも、と思うのだが、私が世話など焼く必要もないくらい綺麗なのでテレビをつけて適当な所に座る。と、そこでテーブルに置かれている箱に目がとまった。三成さんには珍しく、乱雑に開けられたそれは何やら布のようなものがはみ出している。勝手に人のものを見るのは良くない事だが、あの三成さんである。必要最低限の物しかない部屋が象徴するように物欲がない三成さんの部屋にある、普段は目にすることのない何か。気になるのも仕方がない。見られて困る物なら置いておかないよね。好奇心に負け、私は自分の中で理屈を重ね、少しだけドキドキしながら箱に手をかけた。



「…………。」



思わず目が点になった。広げた布は俗に言うランジェリーとかいうものだろうか。薄紫色でシースルーが多いように思える。目の前でそれを広げて、ついじっくり観察してしまった。ストイックな三成さんがこんなもの買うなんて。自分で着るの?それとも私に?どちらにせよ、あまり想像出来ない。色合いは確かに三成さんも好きそうだが、下品ともとれそうなランジェリーを買う三成さんの姿がまったく思い描けない。持て余したランジェリーを、ひとまず見なかった事にしようと箱に戻そうとしたところで、玄関から音がする。慌てて元に戻し、見ていないふりをするべきなのか、しかし、こんな目に付く所にあるのに、そんな言い訳が通じるのか。悶々としているうちに、三成さんが姿を表した。



「お、かえりなさい。」
「何をし……名前、それを……。」



それ、とは言わずもがなランジェリーの入った箱だろう。言われた時に否定すれば良かったのに、ついつい嘘をつくのは良くない、なんて精神が働いてしまって黙ってしまった。思わず逸らしてしまった視線は肯定しているも同じ事である。すると、乱暴に鞄を置く音がして、ほぼそれと同時に勢いよく肩を掴まれ揺さぶられた。



「違う!あれは断じて私が求めた物ではない!家康が勝手に置いていったのだ!」
「おおお落ち着いて三成さん!大丈夫です!三成さんがこういうの持ってても軽蔑したり引いたりしません!」
「私の話を聞いていたのか貴様!!!」
「あくまで、もしもの話ですよ!勿論!」



あんまりにも乱暴に揺さぶるものだから、周りの景色がぶれて見えた。段々と目の回ってくる中で、三成さんを何とか宥めると揺さぶるのは止めてくれたが、相変わらず肩は力強く掴まれ、羞恥からか僅かに赤い耳、伏せた顔から表情を伺う事は出来なかった。しかし、三成さんがこんな物で動揺するとは思わなかった。別に三成さんがランジェリーを持っていようがいまいが、私としてはコメントに困るだけでどちらでも構わない。けれど、持っていて動揺するということは、僅かであれ疚しい感情あっての事ではないのか。もし、本当に家康さんが持って来ただけなら、三成さんの事だし、忌々しげにして捨てるなり何なりする筈ではないだろうか。三成さんは俯いたまま、何も言ってこない。



「三成さん、私は三成さんの言葉を信じてますよ。」
「……そうか。」
「それとも、ランジェリーを持ってる事で、何か疚しい感情でもあるんですか?」
「なっ!?」



驚きのあまり、三成さんは勢い良く顔をあげて私を睨み付ける。しかし、三成さんは完全に動揺しきっているのか、その瞳が揺れている。かまをかけたような私の問い掛けに反論するかと思いきや、口を噤んでしまった。何て分かり易い人だ。そこで適当に反論の一つや二つしてみせれば良かったというのに。まぁ、そこで馬鹿正直に反論をしないところが三成さんらしいのだけれど。



「意外です。三成さんも普通の健全男性と同じような反応するんですね。」
「違う!こんな物に私の意識を集中させている暇など一秒も存在しない!」
「でも、動揺してますよね?凄く。」
「っ!そ、れは……!」



珍しく三成さんの歯切れが悪い。それはやはり、疚しい気持ちがあるからなのだろう。自分を気持ちに上手に嘘はつけないということだ。段々と肩に置かれていた手の力も弱まってきた。首を傾げていると、三成さんは俯いたまま観念したように言った。



「不本意だが、名前ならば似合うと、そう思ってしまったのだ。しかし!私は決して家康が選んだ物を名前に着せるつもりはない!家康からのものなど破って切り裂いて捨てるべきだ!そう、捨てるべきだと分かってはいる。だが、名前が、この布面積があるにも関わらず貧弱な作りをしている下着を身に着けている事を考えると捨てるに捨てきれん!おのれ家康!貴様はどこまで私を苦しませるつもりだ!家康ウゥゥ!!!」



こんな時、どんな顔をしたらいいのか分からないんだ。
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