jojo | ナノ




ディオ(人間)ディオ(吸血鬼)DIO(帝王)


→ディオを家で預かってる設定軸にディオ(吸血鬼)とDIO(帝王)がきた
→ディオ(人間)、一人称僕
→ディオ(吸血鬼)、一人称俺
→DIO(帝王)、一人称私



なにやらアパートがうるさい。今までディオが人を呼ぶなんてことはなかったけれど、友達でも連れて来たのだろうか。それならそれで嬉しい気もする。学校の話は一切してくれないから友達がいるのかさえ分からなかったから。ただ、前日に言ってくれれば掃除したのに。散らかった部屋を思い返して少し玄関の前で家に入ることを躊躇ったが、何時までも玄関にいる訳にもいかない。意を決して入ると、妙に大きな靴が2つ、乱雑に佇んでいた。ディオの歳にしては少し大き過ぎるような。まぁ、最近の子供は発達が良いから、そういうことなのかもしれない。



「ただいまー……?」



邪魔にならないように控えめに言いながら、お母さんっていうのはこんな気持ちなんだろうかと少しほっこりした。すると、今までうるさかった声がピタリと止んだ。次の瞬間、ガタガタと物音がしてリビングから顔だけを覗かせたディオが疲れた表情で私を睨み付けた。何もしていないのに、帰った早々に理不尽だと思う。



「…今日はやけに早いじゃあないか。」
「そうかな?何時も通りだと思うけど。ねぇ、それよりもお友達?」



友達を見せるのが恥ずかしいのか、それとも友達に私を見られるのが恥ずかしいのか。どちらにせよ、変なお出迎えをするもんだから逆に興味を持ってしまう。にこにこしながらディオの前に行けばピシャリとリビングの扉を締められてしまった。



「悪いが今は取り込み中だ。君は部屋にでも行っててくれ。」
「えぇー……。」
「それと僕がいいって言うまで部屋から出るなよッ!」



何だそれ。しかし、一度言い出したら聞かない子だ。素直に従っておこうと思って扉に背を向けて自分の部屋に向かった。筈だったのだが、勢い良く開いた扉から伸ばされた腕によって阻止されてしまったらしい。先程の口ぶりからしてディオが止めることは考えられないが、じゃあディオの友達が?なぜ?不思議に思って振り向いたら、妙にディオに似ている大人がいた。全身黄色で凄く、派手です…。



「まだまだ生娘ではないか。」
「だが女か。血は美味そうだ。」
「お前らァッ!」



誰だろう。黄色い人の後ろから更にディオに似た青年が顔を出した。こっちは服が赤い。何かの舞台の衣装みたいだ。血とか言ってるけれど、厨二病を患ってる方なのだろうか。困惑したままの私を置いて、私の知るディオが一生懸命大人の二人を退かそうとしている。妙にでかくてガタイの良い二人が簡単に退かないせいでやきもきしているディオが凄く可愛い。妙に似てはいるが、やっぱり私の知るディオが一番可愛い。



「名前から離れろカス共がァーッ!」
「ふん、随分熱心だな。昔の私は。」
「俺は血を吸えればそれでいい。」
「あの、ディオ?」



手は離されたものの、ここを離れていい雰囲気ではない。そもそも子供であるディオをこんな訳の分からない大人の側で放っておく訳にもいかない。しかしながら、状況が分からない今、私が頼れるのは声をあらげてやきもきしているディオだけだ。勿論呼んだのも私の知るディオだけだが、他の二人まで、まるで自分が呼ばれたみたいな反応をするから謎は深まるばかりだ。きょとんとする私を余所に赤い人がずい、と体を前に出してにやりと笑う。犬歯なのか、妙に歯が尖っている。しかし、赤い人が前に出たことで隙間が出来たらしいく、ディオが慌てて私と赤い人の距離を遠ざけた。



「離れろって言ってるだろうがッ!」
「少し味見をするくらい良いだろう!」
「ねぇ、ディオ。意味が分からないんだけど…。」



ディオの体が小さい訳でも華奢な訳でもないが、目の前の二人が大きくてガタイが良過ぎるせいで小さく見えてしまう。そんなディオが私を庇うようにして赤い人の前に立つものだから、嬉しいやら母性が疼くやらで感情を抑え込むのに必死だ。今日のディオは凄く可愛い。抱き締めたい。頭撫でたい。そんな私の邪心など知る由もなく、ディオは舌打ちをして振り向いた。



「本当にタイミングの悪い奴だな!どうせ説明しても理解出来ないから簡単に言うぞ。こいつらは未来の僕だそうだ。どういう訳か此処にいる。二人共吸血鬼なんだそうだ。質問は受け付けない。」
「え!」
「言っておくが、私達にとってもこれは本意ではない。」
「こんな所で油を売っている暇は俺にはない。」
「は、はぁ……?」



元々威張りっぽいところがあるけど、ここまで威圧感が増すとは。将来のディオが心配になる。ディオはといえば、相変わらず未来の自分達を睨み付けている。同族嫌悪という奴なのだろうか。



「言っておくが、こいつを食料にしようなんて考えるんじゃあないぜ!」
「殺したりはしない。」
「ならば夜の共ならばいいのか?」
「なッ!?」



黄色い人が挑発的な笑みでからかうように言うと、みるみるうちに真っ赤になって狼狽えるディオ凄く可愛い!あ、いや、そうではなく。吸血鬼だなんて俄かには信じられなが、ディオが真剣に食料の話なんてするということはそうなんだろう。それに先程見えた犬歯のようなものも引っ掛かる。しかも、話の内容的に私が食料候補として挙がっているそうで。全くもって不名誉だ。しかしながら、こうしてディオが私のことを必死に庇ってくれる姿が見れるなんてレア中のレアだ。激レアだ。もう見れないかもしれない。少し役得だな、とか思ってしまった。大人って汚い!そんなことを考えていれば思い切り足を踏み付けられた。



「痛い!」
「お前もぼうっとしてるんじゃあない!マヌケがッ!サッサと部屋に戻れよ!」
「でも、ディオだけじゃ心配だし…。」
「お前がいると話がややこしくなるんだよッ!」
「いいじゃあないか。自分が他に二人もいる空間にいるなんて、虫唾が走るしな。」



赤い人がしゃあしゃあと言い張る辺りやはり同族嫌悪らしい。しかしながら、黄色い人はディオや赤い人とは違って随分余裕があるように見える。多分、この人も私が同じ部屋にいたところで構わないのだろう。見た目は赤い人と同じくらいなのに、妙に貫禄のようなものを感じる。結局、促されるままに私はディオ達との話し合いに参加することになった。



「それで、話し合いって何するの?」
「こいつらを追い出す。」
「ここで世話になる。」
「帰る方法を見付けるまでな。」
「……。」



3人が顔を見合わせて睨み合っている。今のところディオだけが二人と違う意見らしい。まぁ、それもそうだ。元よりそこまで広くない部屋に、こんな大男が二人も増えたら部屋が狭い。それに生活日用品だってどう考えても足りない。それに私だって一応年頃の女だし、流石にこんな大男をいきなり家に住まわせるなんて、尻軽じゃないんだから出来ることならお断りしたい。しかし、2人は此処を出ていく気が全くないように思える。寧ろ我が物顔で座椅子に座っている。シュールだ。私はもう話についていけないので、軽く傍観者を決め込んでいる。
うーん、黄色いディオは大人っぽ過ぎて少し怖いなぁ。さっき夜のお供とか下ネタ言ってたし。ディオさんって感じだなぁ。赤いディオはいちいち叫んでうるさいなぁ。舞台衣装みたいで一緒に歩きたくない。やっぱり私の知るディオが一番愛嬌があって憎めなくて可愛い。この世に生れてよかった。



「……名前、何をしている?」
「ハッ!」



無意識のうちに頭を撫でてしまった。我に返った頃にはディオが私のことを睨みつけていた。慌てて手を離しても、ディオは怒ったまま座っているのに、まるで見下すような視線を私に向けている。



「ご、ごめん!ちょっと意味が分からな過ぎて…!」
「だからお前は邪魔だと言っただろうがッ!」
「いや、だっていきなりそんなパラレルワールドみたいな話をされても…。すんなり飲み込める方が可笑しいっていうか…。」
「いいか、君は黙って座ってろ!」



子供に諭される成人ってどうなんだろう。自然としょんぼり肩を落とした。すると、先程まで座椅子に座ってふんぞり返っていた筈の黄色いディオが何時の間にやら私のことを後ろから抱えるようにして座っていた。瞬きした瞬間に場所が入れ替わってるとか、この人瞬間移動出来るの?人じゃない。いや、人じゃないんだけど。



「そう足蹴にしなくてもいいじゃあないか。」
「!?」



ちらりと見えたディオが驚いて目を見開いていた。こんな表情を見るのも珍しい。私はなんとか身を捩って黄色い人の腕の中から抜け出そうとするも、離す気がないのか全然動かない。腕でこの筋肉だから敵わないことは何となく分かっていたけど、まさかこれほど動かないとは。諦めて腕の中でぐったりしていれば、腰に回された手が下におりてくる。これが俗に言うセクハラですね。



「ディオー!助けてー!」
「お前ッ!!!」
「これくらいで騒ぐな。」
「…節操無いな。」



暴れてみても余計に体を密着させてくる。ディオに手を伸ばしたところで腕もとられるしで意味が分からない。怒鳴りつけるディオを無視して、黄色いディオが楽しそうに笑う声が聞こえた。側では呆れて溜め息を吐いている赤いディオがいる。そんなことしてないで助けて欲しい。
結局、その後も黄色い人がディオをからかうせいで話が一向に進まず、赤い人が怒って寝る羽目になったのだが、次の日にはいなくなっていたのだから全くもって不思議な人達だ。



―――
ディオのゲシュタルト崩壊。
終始カタカナ表記なのはそれぞれがちゃんと自己紹介してないから。


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