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ディオが狸寝入り


「(ふわふわだなぁ)」



私のベッドを占領して、すやすや気持ちよさそうに寝ているディオの髪を撫でた。綺麗なブロンドの髪はふわふわしてて触り心地が良い。ディオは少し眉間に皺を寄せるだけで、相変わらずすやすやと眠っている。口を開けば皮肉や悪態しか吐かないくせに、案外寂しがり屋で憎めないところのある彼が、こうして私のベッドを占領するのはよくある話だ。一応ディオのベッドもあるというのに、彼は結構な頻度で私のベッドを使う。どうしても起きない時は私もディオのベッドで寝るのだが、寝転んで布団を掛けるとディオに包まれているようで安心する。多分、それはディオにとっても同じなのではないかと思う。生活時間がずれると、家に居てもディオと会う機会は減ってしまうから、もしかしたら寂しいのかもしれない。勿論、これは私の希望的観測も入っているから、本当の理由なんてものは分からないけれど。



「ディオ、おやすみ。」



前髪を少し掻き上げて額に触れるだけのキスをする。相変わらずすやすや眠っていることをしっかりと確認して部屋を出た。夢の中ではせめて寂しくないようにと願って。

***

僕がこの女の家に居るのは、僕にとって都合が良いからだ。遠い親戚だということは調べて分かっているが、女はそんなこと知らないだろう。だからこそ良い。僕のことを何も知らないからこそ居やすい。それに女はわざわざ深入りもしてこない。興味がないのか、そういう話が嫌いなのか、何なのか。それが僕にとって都合が良いことに変わりはなく、お陰で此処を拠点と出来ているのだからそれでいいと思っている。ただ、僕に声を掛けずにいなくなったり、夜中まで帰ってこなかったり、一応保護者という立場のくせに、このディオを放っておくとはいい度胸だと思う。だからこそ、そういう時は罰として女のベッドを占領する。女は自分自身で気付いていないのかもしれないが、眠くなるギリギリまで僕の側で起きるのを待っている。髪を撫でて、眠そうに欠伸をしながら。起こせば早いのに、それをしない。毎度毎度、睡眠時間を削るだけだというのに滑稽な話だ。そうして最後には僕の額にキスをして僕のベッドで寝るのだ。こんな横暴な態度をとっても女は家を追い出したり声を荒立てたりしない。可笑しな奴だ。寝返りを打って布団を掛け直すとアイツの匂いがする。僕はこの匂いが嫌いじゃない。



「………おやすみ。」



小さな声で返事をしても名前に聞かれることはないだろう。今までも、これからもだ。だがしかし、何時か僕がこの家を出て行っても名前が馬鹿みたいに安心しきった顔して眠れることを保障してやろう。僕に居場所をくれた、ほんの些細なお礼として。


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