jojo | ナノ




Love,too Death,too


俺は別に何を言われても平気だ。感情がないとかそういうことじゃあなくて、いちいち突っ掛かるのは相手を喜ばせるだけだと知っているからだ。だから、感情を剥き出しにしているギアッチョはある意味で尊敬するし、意外と怒りっぽいプロシュートも素直なんだと思う。そして、俺のことをいちいち庇う名前は馬鹿で素直で良い子だ。スタンドの関係上、俺はターゲットの血だけじゃあなくて見ず知らずの女の血が必要。どちらにしても近付かなければならず、ターゲットだろうと女だろうと罵詈雑言を吐かれることは珍しいことじゃない。俺はそれを笑って流すけど、名前は違う。いちいちそれに突っ掛かって、怒り任せに殺すこともある。



「なんで、メローネは平気なの…!」



ああ、今日は殺してしまったのか。べっとり、体のいたるところに付着した返り血と、名前の側に転がっているターゲットの死体に、どうしたもんかと思案する。なるべく穏便に済ませるようリゾットに頼まれてたのに。怒ったまま名前は俺に詰め寄って、胸倉を掴んだ。それに対して俺は曖昧に笑ってみせたが、それがまた逆効果で名前は怒ったままの表情でぼろぼろと大粒の涙を零す。怒りたいのか泣きたいのか、どっちなんだろう。なんて器用なんだ。



「何度も言ってるだろ。俺はあんな罵倒言われ慣れてる。気にする程のことじゃあない。」
「でも…っ!」
「それに、黙って聞いてるからってそれを肯定してる訳じゃあないんだ。」



頭一つ分小さい名前を撫でてやっても、納得はしていないらしい。口を噤んではいるものの、まだ何か言いたそうだった。任務の時、感情を殺すのは暗殺者として当然だと思ってる。感情というのは人間を殺すには邪魔でしかない。だから、俺は罵詈雑言も簡単に流せるし、それらを浴びせたターゲットや女を殺して、ざまあみろ、と思うことすらない。俺にとってはどうでもいいことで、報告書を書いてる時と同じくらい何の感情も浮かびやしない。人間を殺しても何とも思わないなんて、酷く化け物染みていると思った。



「メローネが悪く言われると、むかつく。なんにも分かってないくせに。」



目元の涙を一生懸命擦りながら、鼻声のまま名前がぼそりと呟いた。名前は馬鹿で素直で良い子だ。こうして自分じゃない俺のために怒って泣いてくれる。俺だって人間だ。何を言われても平気な訳じゃあ決してない。でも、こうして名前が俺の代わりに泣いてくれるから、俺は今日も人間をギリギリ保っていられる。きっと名前が俺のために泣いてくれなくなったら、名前がいなくなったら、俺は人間の皮を被った怪物になるだろう。擦ったせいで赤くなった目元が、異様なまでに愛おしかった。


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