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暗チんとこのお嬢さん(中)


朝、目を覚ますとベッドの中は当然のように暖かい。寧ろ暑いくらいで、寝返りをうち、肩と腕を出せば、これも当然のように寒い。この温度差が嫌で、目が覚めてから暫くはベッドの中でうだうだしているのだが、何度も寝返りをうち外気が入り込んで、自分の体温も徐々に正常になってくると、あまり気持ち良いとはいえない。観念したように起き上がり、アジトのリビングにのそのそと歩いて行くけば、メローネがコーヒーを飲みながらパソコンを弄っていた。私は急いで部屋に戻ってタオルケットを鷲掴み、メローネの横にぴったりとひっついてタオルケットを足の先まで被った。メローネは体温が高いのだ。



「Buona mattina.メローネ。」
「Buona mattina.名前。」



どことなく眠そうな表情でいつもより体も暖かい。さっきのベッドなんかよりも気持ちの良い人肌に私は一つ欠伸をする。メローネにとっては邪魔かもしれないが、私はこの場で二度寝を決めこむつもりだ。私の欠伸につられるようにメローネも欠伸をする。パソコンなんて弄ってないで、眠いなら寝ればいいのに。口には出さないが、腕をしっかり掴んだところで、ガチャリとドアの開く音がした。



「んだ、おめェーら。芋虫みたいにひっつきやがって。」



どうやら入って来たのはギアッチョらしい。どっかりと私の隣に座ってぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でる。ギアッチョのスキンシップは少し乱暴だ。起きていれば特に構わないが、折角心地良かった眠気がすっかり飛んでしまった。ぐりぐりと撫でつける手を振り払って、ギアッチョから離れるようにメローネにくっついた。



「ギアッチョは冷たいからやだ。」
「あ?」
「ギアッチョ振られてやんのー!」



先程の眠気はどこへやら。小馬鹿にしたような声音でメローネがギアッチョのことを指差した。ぴきぴきと米神に筋をたてて怒りを露わにするギアッチョにおかしくなってばれないようにタオルケットに身を包んで笑う。しかしながら、ぷるぷると体を震えさせていたせいで意味はなかったらしい。寧ろ、ギアッチョの怒りのボルテージをあげたようだった。



「んの野郎ォ〜ッ!夏の間はさんっざん人のこと利用しやがってよォ〜ッ!あぁ?」
「そんなに怒るなよ。事実ギアッチョは体温低くて寒いし。なァ、名前?」
「ん?うん。ギアッチョは冷たいねぇ。冬はねぇ…?」



からかう私達に、とうとうギアッチョの怒りは頂点に達したらしい。襲いかかってくるギアッチョに痛いくらいに頬を引っ張られて顔の形が変形する。



「いひゃいいひゃいー!」
「ブハハッ!いい様じゃねェか、名前ちゃんよォ〜!」
「うっわ名前超ブサイクッ!」



ばしばしとその手を叩き、失礼なことを言って爆笑するメローネに頭突きをかませば今度はギアッチョがゲラゲラと笑う。そのまま3人で朝から遊んでいるうちに、リビングにぽかぽかと日差しが入り込んでいるのが分かった。

***

ようやく静まったリビングにやれやれと思いながらリゾットは毛布を運ぶ。歳が近いせいか、メローネとギアッチョと名前は3人でいるとまるで兄弟のようだった。ぽかぽかとした日差しを浴び、まるで遊び疲れた子供のように寄り添ってで眠る3人に毛布を掛けて欠伸を噛み殺しながら自室へと戻った。


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