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ギアッチョは低体温


ギアッチョはホワイトアルバムなんてスタンドが発現するくらいなので、とても体温が低い。そして私は冷え症持ちである。更にはお互いに寒がり。夏はいいけど、冬はお互いくっついていても寒いので厚着に厚着を重ねている。そんなギアッチョと手を繋ぐと、彼はよく自分のポケットに突っ込む。私もギアッチョも寒がりで、だからこそ何時まで経っても温まらない手を外に出しているよりも、ポケットに入れて少しでも風を防いだ方が良いのだ。



「(寒いなぁ)」



初日の出が見たいから。年の瀬を何となくテレビを見ながら過ごし、わざわざそれだけの理由により今まで起きていた私達は、朝の6時過ぎなんていう一番寒い時間帯に家を出た。ギアッチョも誘ったけれど、寒いの一言で布団に包まってしまったので私は一人でイタリアの街を練り歩く。イタリアといっても住宅街の田舎に住んでるお陰で人通りなんてないし、ビルが立ち並んでいる訳でもないので日の出がよく見えそうだった。白い息を吐きながら手を温めて、今か今かと日の出を待つ。なるべく近くで、と思いながら歩を進めて行くが、案外時間は掛かるらしい。先程から待てども待てども空が明るくなるぼかりで、肝心の朝日は見えてこない。ぶるりと寒さに身を震わせ、コートだけを羽織って家を出てきたのは失敗だった思った。マフラーも手袋も置いて着て、普段ならだんだんと慣れてくる寒さにも慣れることはなく、逆に徐々に冷たさが体に染み込んでいく。折角だけれど、もう帰ろうか。寒さに耐え切れず、日の出前の明るくなった空を一目見て来た道を引き返そうと踵を返した。



「あれ?」
「…おう。」



そこにはコートやマフラーをしっかりと着込んだギアッチョの姿があった。私よりも幾分か着込んでいるみたいだけれど、鼻先や頬が赤くなってて見るからに寒そうだった。ポケットに手は突っ込んだまま、彼の側に近寄れば、億劫そうにしながらも片手だけを覗かせて私の手を握る。



「つめてェッ!こんなクッソさみィ中ンな薄着して出て行ってんじゃねェぞッ!」
「すぐ日が昇るから大丈夫だと思ってたんだけどね。」



自分の顔は見えないけれど、もしかしたらギアッチョ以上に真っ赤になっているのかもしれない。相変わらず近所迷惑など関係なしに怒鳴るギアッチョだけれど、その言葉の中に不器用な優しさが垣間見えて思わず頬が緩んでしまう。まだ何か言いたそうだったけれど、彼はわざわざ持ってきてくれたマフラーを首にぐるぐると巻いてくれて、私の手を取ると、コートのポケットに一緒に突っ込んでくれた。冷え切った体では普段冷たいギアッチョの体でも十分暖かくて、思わずギアッチョに体を寄せた。



「こんだけ寒ければギアッチョが暖かく感じるね。」
「馬鹿言ってんじゃねェぞ、クソ……。」



そっぽを向いてしまった彼に、それでも耳まで真っ赤になっているところを見れば笑わずにはいられない。マフラーとポケットに突っこまれた手が少しずつ暖まってくる。たまには寒いのも悪くはない。


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