jojo | ナノ




承太郎とオカルト


→時間軸ぐちゃぐちゃの混部
→ホラー苦手な人は見ない方がいい



知り合ったばかりの頃は、怖がりでそういう類の物は嫌いそうに見えた。だが、スタンドや霊感の有無、俺の周りをうろちょろするDIOや神父、仗助の友人である宇宙人やじじいの知り合いのカーズとかいう化け物、他にもいる面白超人達のせいで妙なスイッチが入ったらしい。今ではすっかり巻き込まれて、廃墟やら心霊スポットに連れて行かれる始末だ。今日も昼間から電車を乗り継いで心霊スポットに向かっていた。なぜ昼間に行くのかといえば、怖いもの好きのくせして夜に行く程の度胸がないかららしい。やれやれだ。



「今日の所は結構危ない噂もいっぱいだから、やばいと思ったら帰ろうね。」
「…行かなけりゃいいだろうが。」
「怖いけど行きたいの!どんな雰囲気なのかとか、どんな超常現象が起こるかとか気になるの!」



興奮気味にそう言う名前をちらりと視線だけで見遣ってから、俺は溜め息を吐いて帽子を深く被り直した。その後は聞いてもいないのに、これから行く心霊スポットで起こった怪現象を話し始める。鬱陶しいと思う反面、話されたら話されたで気になるもので、俺も大概だ。何でも、そこは廃業した旅館らしい。周りは伸びた草に覆われ、窓も開いていたり、ひびが入っていたりする。そこに3人組の男達が肝試しと称して入ったそうだ。まぁ、よくある話だ。しかし、よくある話と違ったのは、旅館に入って本当に霊が出てきたらしい。最初こそ、ただの肝試しと思って騒いでいた男達だが、少しずつ異変を感じた。まず、扉が突然閉まったり開いたりするポルターガイスト現象、霊感があるであろう一人の男は奥に進むにつれて吐き気が酷かったらしい。だが、ポルターガイスト現象に怖がるどころか興味を抱いた男達は奥まで行くと、叫び声をあげながら旅館の外に出て来た。そして、一人は精神的に今でもおかしいままだという。肝心の中で何があったのか、それは分からないままだという。



「嘘くせェな。」
「そうかなぁ?でも、一応何かあったら神父さんに連絡して助けてもらおう!」
「…エセ神父は頼りにならねェ。寺にでも駆け込みな。」



話が終える頃には、目的地の場所に着いたようで、電車がゆっくりと止まった。

***

「雰囲気あるね。」
「………。」



目の前にそびえる旅館は人などいない、奥まった所に存在していた。場所が悪過ぎて廃業したんじゃあないかとさえ思う場所だ。話の通り草が伸び放題だが、正面玄関へと続く道だけは、まるで訪れる人間を招き入れるかのように草が踏み固められて一本道となっていた。まぁ、単純に話に出てきた男達のように肝試しをする人間によって踏み固められただけだろう。証拠にその道には足跡が幾つも残っている。どうやら、有名な心霊スポットらしい。旅館は奥まった場所にあるせいか日光が遮られ、昼間であるのに薄暗く正面からも扉が壊れて開いているのに中が真っ暗だった。いつから建っているのか分からないが、旅館も黒ずんでいたり、窓にひびが入っていたり、名前の言うように雰囲気は十分だった。それに、先程から妙に胸騒ぎがする。俺の気持ちに合わせてか、スタンド、スタープラチナが自然と現れた。あまり良い場所じゃあないってのは確かなようだ。



「まずは外回りだね!いきなり中に入るなんてナンセンス!」
「おい、名前!」



俺の制止など聞こえていないようで、名前は意気揚々と草を掻き分けて旅館の周りを歩き始める。仕方なしに俺もその後を着いて行く。遠目で見ていても思ったが、旅館は結構ボロがきているらしい。所々塗装のようなものが剥がれている。ちらりとスタープラチナに視線を向けると、無表情ではあるが先程から纏う空気がピリピリしている。中に入る前に引き返した方が良さそうだと、名前に声を掛けようとしたところ、スタープラチナが突然名前の腕を掴んだ。



「あれ!?う、動かない!右腕だけ金縛りだ!」
「俺のスタープラチナだ。」



名前は旅館の外壁を触って確かめようとしていたらしい。伸ばした右腕は旅館に向いている。それをスタープラチナが止めるということは、そういうことだろう。大人しく腕を下ろして名前は思案するように腕を組んだ。



「そっか。もしかして、触るのも危ないってことかな。」
「あぁ。」



名前はオカルト好きだが、霊感が全くない。俺の側にいるスタープラチナも話をしただけで見えていない。本人は、側にいるのに見れない上に感じ取ることすら出来なくて悔しがっていた。しかし、俺とスタープラチナのお陰で名前は今まで散々に廃墟や心霊スポットを訪れても憑かれたり怪我をすることがなかったと言ってもいい。勿論、霊感のある俺を連れて危ない場所には近付かないようにしている名前自身の防衛意識もそうだが、危険を察知することの出来るスタープラチナが今みたいに行動を制限するからに他ならない。



「外壁を触るのも駄目となると、中に入ったら相当やばい?」
「だろうな。外にいるだけで胸糞わりィぜ。」
「そうなんだ。ぜんっぜん分かんない!」
「お前はな。」
「でも、そんなに危ないなら中に入るのは止めよう。写真とか撮るのも危ない?」
「カメラがこれから使い物にならなくてもいいってんなら好きにしな。」



鞄からカメラを取り出し、キラキラとした目でこちらを見ていた名前だが、一瞬で鞄に戻した。その後も旅館とは距離をとりながら歩いて、数分で正面に戻って来た。相変わらず、旅館の中は薄暗く、中の様子は見えない。



「折角ここまで来たけど帰ろうか。」
「あぁ。」
「どっかでお昼食べて帰ろう?」



折角来たにも関わらず、中に入ることが敵わなかったせいなのか、名前は少しばかり落ち込んでいるようにも見えた。態度こそ可愛げがあるものの、理由が理由だけに複雑だ。俺達は元来た道を引き返すように旅館に背を向けると、するりと撫でる風が変に生温かくて気味が悪い。何となく、気になって旅館に視線を向けた。正面の玄関に変化はない。先を歩く名前は未練がましく周りをきょろきょろと見ている。危なっかしい奴だ。声を掛けようとしたところで、突然激しい耳鳴りに襲われる。



「次は引き摺りこんでやる。」



耳鳴りに混じって聞こえた声は声は、唯一出来上っている踏み固められた道に足跡を残してドタドタと走り去った。



――――
半分は作り話です。


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