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スタープラチナ


私が空条さんに会ったのは、つい最近の話だ。最近になってスタンド能力が発現した私は不安一杯に東方仗助君に連れられて、杜王グランドホテルに行ったことも記憶に新しい。その時に東方君と空条さんのスタンドを見せてもらった。東方君はクレイジーダイヤモンドすぐに引っ込めてしまったけれど、空条さんは私が帰るまでスタープラチナを発現させたままにしていた。不思議に思ったが、別にスタープラチナがいたところで困ることはない。これからの話をして、ホテルを後にした。

それから何日かしたある日。どうやらその日から空条さんのスタンドは暴走状態にあるらしい。スタープラチナがいなくなったという旨の電話を空条さんから受け、スタンドにほとんど無知な私はそんなことがあるのか、なんて思いながら杜王町を歩いて探してみようと玄関に向かった。しかし、その手間はどうやら省けたようだ。目の前には、空条さんがいないのに、スタープラチナが私のことを見下ろしているからだ。



「スタープラチナ、だよね?」



言葉も発しなければ、体で表現することもない。意思を表さないが、じいっと私の目を見て離さないあたり合っている筈だ。それに、ホテルで見た空条さんのスタンドそっくりなんだから間違う筈がない。どうして私の家にいるのかは分からないが、ひとまず空条さんに電話しなければならない。引き返して電話をする間、スタープラチナはゆらゆらと私の後をついて来て、私の様子をじっと見つめているようだった。



「すまない。助かった。」
「いえ、どうしてか家にいただけですから。」
「…そうか。どうやらスタープラチナは君を気に入ってしまったらしいな。今までこんなことはなかったんだが。」
「そ、そうなんですか?」



空条さんも困惑しているようだ。電話越しに少しではあるが戸惑っているような声音が聞こえる。ひとまず、これからスタープラチナを受け取りにくるということで電話を切り、ソファに腰掛けた。その間もスタープラチナはゆらゆらと私のすぐ側を離れようとしない。空条さんの言うことが本当ならば、それはそれで嬉しい気もする。



「でも、勝手に来るのはよくないよ。」



苦笑いをしながら言えば、少し、本当に少しだけ表情を歪ませたように思えた。それまで側に佇んでいたスタープラチナは急に私の隣に来ると、私を持ち上げ、包み込むように抱き締める。スタンドのことはよく分からないが、こんなこともするのか。思わず唖然としてスタープラチナを見詰めた。



「すまない。」



小さな、今にも消えてしまいそうな、どこか聞いたことのある声が聞こえた。我に返った頃にはスタープラチナは離れていて、再び私の側でゆらゆらと佇んでいる。何が起こっているのか。いまいち状況を飲み込めていない私は何度か瞬きを繰り返し、状況を整理するのに必死になっていた。しかしながら、落ち着く暇もなく、家の呼び鈴がなるので、急いで玄関まで走る。扉を開けて、玄関に空条さんを招くと、すぐ後ろにいるスタープラチナは自然と空条さんの中に消えていった。消える瞬間、じっと私を見詰めたまま。空条さんは、やれやれと帽子のつばを掴んで一安心したようだった。



「実はスタープラチナのことは君に一番に連絡したんだ。」
「どうしてですか?」
「この前ホテルで会った時、俺も仗助と同じタイミングでスタープラチナを戻そうとしたんだがな、どうにもそれが上手くいかなかったんだ。君のことを食い入るように見ていてな。あの時から暴走気味だったんだ。」



そう言うと空条さんは、すまない、と告げた。それが先程聞こえた、まるで消えてしまいそうなスタープラチナの声にそっくりで。返事をしない私に空条さんは不思議に思ったのか、私の名前を呼ぶ。我に返って曖昧に返事を返してから車に乗り込んでホテルに戻る空条さんを見送った。つい最近発現したスタンドというのは私にとって訳の分からないことだらけで、何をするにも驚いてばかりだ。ただ一つだけ、スタープラチナに関しては、スタープラチナが暴走しないよう、時々空条さんに会いに行こうと思った。


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