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スタンドが見えない


→仲悪いけど承太郎とDIOが一緒に居る



「DIO…!」
「WRYYYYY!!!」
「………。」



承太郎とDIOが喧嘩をすることは特に珍しいことではない。うるさいと思うことはあれど、そう気に留めることでもないのだけれど、一つだけ気になることがある。二人は武器を使って喧嘩をしている訳ではない。自らの拳、つまりは殴り合いをしている筈なのだが、相手が殴ってもいないのにふっ飛ばされたり、倒れたりしている。どうやら彼等には超能力的な力があるらしく、それを使って流血沙汰の喧嘩をするのだが、その超能力であるスタンドというものが見えないこちらからしてみれば何をしているのか全く分からない。何をしているんだと思うくらいに。ただ歩いてるだけなのに、なんで殴られて、倒れてるのとか思う。今日も今日とて彼等は喧嘩をするのだが、じっくり観察したところで相変わらず彼等のスタンドとかいう能力は全く見えない。



「オラオラオラオラオラオラ!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」



花京院によれば、なんだか凄い殴り合いをしているらしいのだが、こっちからしてみれば、ただガン飛ばし合ってるだけだ。私は二人の喧嘩に巻き込まれないように部屋の隅っこで座りながら、今日はどっちが勝つのかな、なんて傍観を決め込んでいた。



「てめェは俺を怒らせた。」



どうやら今日は承太郎の勝ちらしい。ボロボロになりながらも、少しすっきりした表情でDIOを足蹴にしていた。そんな二人の周りには棚から落ちた本や家具が散乱している。これも毎日のことなのでもう怒ったりはしない。畳だからなのか、手加減しているからなのか、家具が壊れることも少なくなった。何より、喧嘩が終わったと同時に、散乱している本や家具が独りでに動き出し元あった場所に収納されていく。最初こそ驚いてポルターガイスト現象かと思ったけれど、どうやらこれもスタンドがやってくれているらしい。



「部屋片付けるのスタープラチナがやってるんだよね?」
「…まぁな。」
「ふーん。」



わざとらしく聞いてやれば、罰が悪そうに帽子を深く被り直した。そう思うくらいなら最初からやらなければいいのに。DIOから退いて、すっかり綺麗になった畳の上に承太郎がどっかりと座る。短気なご主人様を持つと大変だなぁ。見えないことが悔やまれるが、もし見えたらスタンドを労ってあげたいと最近は思う様になった。喧嘩も終わった為、私は部屋の隅から承太郎の隣に移動する。視界の隅にもぞもぞとDIOが動き出すのが見えた。若干頭から血が出ているけれど、私が血を提供しているのだから止めて欲しい。DIOの体をつんつん突くとむくりと顔だけをこちらに向けた。



「…何をしている。」
「血が畳に垂れちゃうよ。あと私の血を無駄にしないでくれないかな。」
「WRY……。承太郎に言うことだな。」
「おめェが出て行けばいい話だろう。」
「なんだとォ!?」
「今日の喧嘩はもう終わり。」



再び食ってかかりそうになるDIOと承太郎の間に入って仲裁すると、渋々といった様子で二人はそっぽを向いて座ってしまった。DIOもいちいち突っかからなければいいのにと思うけれど、承太郎もわざわざ喧嘩を売るようなこと言わなくても良いのに。とりあえずは落ち着いたところで、救急箱を取って手当をする。そういえば、スタンドとかいうのは怪我をしたりしていないのだろうか?救急箱を持って戻り、承太郎の傷を手当すると同時にスタンドについて聞いてみる。



「ねぇ、スタンドは怪我しないの?」
「さァな。」
「同じところに傷付くようだが、本体が回復すれば問題はない。そもそも、スタンドに人間の概念は当てはまらん。」
「それはDIOも同じだけどね。」



切れた口元にガーゼを当ててテープで止める。少しばかり眉を吊り上げたけれど、痛い思いをするのが嫌なら最初からけんかなどするなという話である。寧ろ、よく分からないけれど激しい殴り合いをしておきながら、口が少し切れたとか打撲するくらで平気な承太郎は軽く人間を超越している感も否めない。DIOは元々人間じゃあないから傷くらいはすぐに再生するけど。



「毎日喧嘩なんてしてないでよね。スタンドだって可哀想でしょ。」
「ふん。」
「このDIOのザ・ワールドは私の化身のようなものだ。どう使おうが私の勝手だ。」
「勝手なご主人様達を持つとスタンドも大変だなぁ。」



ぴくりと反応する承太郎と食ってかかろうとするDIOから逃れる為に私は部屋を出た。暫くあの部屋には戻りたくないし、花京院の家に行ってゲームしようかな。


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