jojo | ナノ




荒木荘コピペネタ


→荒木荘コピペbotさんのより。
→驚く程の初書き率



料理を失敗した。何か別の物を、と思ったところで月末の冷蔵庫は財布同様空っぽ。台所で途方に暮れていると、ドッピオ君が後ろから料理を覗き見る。



「どうしたんですか?」
「あ、えっと……。失敗しちゃって……。」



申し訳なさや恥ずかしさでドッピオ君の顔を見ることが出来ない。どうしよう。お金も材料もここにはない。困り果ててどうしたものかと頭を抱えていた時、突然彼は失敗した料理の皿を掴んで掴み食いをする要領で一口それを口にした。私は慌てて彼の手からお皿を取り上げる。



「ななな何してるの!?美味しくな「美味しいです」」



思わず口をあんぐりあけてドッピオ君を見る。一体彼は何を言っているんだろうか。美味しい筈ないだろう。私だって食べた。まずかった。だからこそ台所で途方に暮れていたというのに。しかし、ドッピオ君はお箸を持つと私がしたようにお皿を取り上げて 、失敗した料理を全て平らげてしまった。



「名前さんが作ってくれる物は全部美味しいです。」

―――

お腹が空いたと喚くDIOさんが、料理に失敗して途方に暮れる私の元に来た。いや、お前は血でも飲んでろよ、と思うが皆と同じようにご飯を出さないと怒るので、口には出さない。まだかまだかと、まるで子供の様に急かすので、失敗した料理を差し出した。



「む、出来ているではないか。」
「すみません、失敗しました。」



料理を前に少し嬉しそうなところ悪いが、失敗したことを告げるとまた眉間に皺を寄せてしまう。言い訳をするつもりはないので口を噤んでいれば、何を思ったのかDIOさんは料理を摘まみ上げて口の中に放り込んだ。まずいと言っているのに食べるなんて、どんだけお腹が空いてんだ。



「まずい!」
「だから失敗したって言ったじゃないですか。」
「どうしたらこんなものが出来るのだ!このDIOの生まれた時代にこんなものはなかった!」
「そ、そんなに……。イギリス料理よりまずい……。」
「これなら貧民街で作る方が美味い。」


たまたま失敗しただけでこの言われように涙目になりながらしょんぼりと肩を落とした。それなのに、DIOさんはボロクソ言いながらお皿の中の料理を摘まんではそれを口の中に放り込む。食べながらも文句は続いたが、気付けばお皿の中の料理は綺麗になくなっていた。



「次はしっかり作れよ。」

偉そうに、と思うのだが、平らげられたお皿を見ると頑張ろうと思うのだった。

―――

「ふむ。」
「す、すみません。」



失敗した料理を持ってほぼ土下座の勢いで差し出せば、思いの外たいした反応は見られなかった。お腹が空いたというものだから、失敗した料理なんて作って怒られると思っていた。ついでに、怒られてそのまま私が食われる(物理)かもしれないとすら思っていたが、どうやら一安心らしい。しかし、冷蔵庫に食材はなく、このクソまずい料理を出すしかないことには流石に申し訳ない。カーズさんは失敗した料理を眺めてから、一口それを食べる。噛む事に眉間に皺が寄って、今にも吐き出してしまいそうな表情をしている。寧ろそこまでして食べる必要はないのでは、と思う。ようやく食べ終えた頃にはしかめっ面をしていた。申し訳ない。しかし、カーズさんはお皿を持ち上げると、ズブズブと体内に取り込んでしまった。



「料理など、食えればよかろうなのだァーッ!」



それは慰めなのだろうか。

―――

「ごめんなさい、失敗しちゃって…。」



お腹が空いているだろうからと急いで作ったのがいけなかった。味見をした時の衝撃的な味は暫く忘れられそうにない。台所から顔だけを覗かせて、待っているであろうプッチさんにそう言えば、彼は立ちあがって私の元まで歩み寄る。



「失敗したものは仕方がないさ。気を落とさないでくれ。」
「で、でも…。もう食べるものが、なくてですね…。」



優しさが痛い、とは正にこのことか。妙な罪悪感から視線を合わせられずに彷徨わせていると、プッチさんはフライパンに入ったままの料理を見詰めて、一口食べてしまった。あんまりにも驚いて唖然としていると、彼は苦笑いをしながら私に向き直る。



「砂糖と塩を間違えちゃったのかな?でも、見た目は凄くよく出来ているし、醤油を加えればきっと美味しく出来上るよ。」



その手があったか!と感心すると同時に、まずかった料理を食べて怒るでも呆れるでもなく、褒めてくれたことが嬉しくて頬が緩んでしまう。僕も手伝うよ、なんて笑うプッチさんに今度こそ大丈夫です!と意気込んでガスコンロに火を灯した。

―――

数少ない稼ぎ手であり、スポーツ選手ということでディエゴの日々の食事は案外重要だったりする。かといって、こんな所に住んでいて贅沢など出来ないのだけれど。月末はどこもお金がないのだと自分を納得させ、いただきます、と言ってご飯に手を付ける。しかし口に入れて思った、まずい。



「うっ!まずい!」



自分で作っておいてなんだが凄くまずかった。なんとか飲み込んだものの、次を口に運ぶ気にならない。失敗したのだ、と理解すると同時に、冷蔵庫に何もないことを思い出して困り果てる。作ろうにも材料はない。材料が買う為のお金もない。唯一と言えるくらいの労働者に何という仕打ちだろうか。あわあわと分かりやすいくらいに焦る私を余所に、ディエゴは黙々と失敗した料理に手をつける。



「ご、ごめん!失敗してたみたいで…。味見するの忘れてて、悪気はないんだよ?でも、その、今月はもうお金がなくて…」



言い訳を並べてみても、ディエゴはそんなことなど知らないと言わんばかりに総スルーで失敗した料理を食べ続ける。よく食べられるな、と半分感心しながら、その光景を眺めた。結局、私が一人で慌てているうちにディエゴは全てを平らげてしまった。



「ゴチソウサマ。」

―――

お給料日前日。すっからかんになった冷蔵庫を眺めながら、なんとかしてご飯を作り数少ない稼ぎ手の吉良さんと向かい合って手を合わせる。お腹が空き過ぎて逆にお腹の空かないレベルまで達してしまった私だが、ご飯を目の前にすれば別の話だ。ご機嫌に箸を伸ばして大きな口でおかずを放り込む。



「!」



単刀直入に言うとまずかった。そっと箸を置いて、自然と体が縮こまるのを感じた。恐る恐る吉良さんの顔色を伺うと、しっかりとおかずに手をつけて食べてしまっている。平気そうな顔をしているが口の中におかずを放り込んでから口が動いてない。



「あ、あの、その…!」
「……ふぅ。」



言い訳をしようにも上手い言葉は浮かばず、おろおろしていれば吉良さんは口をほとんど動かさずに飲み込んでしまう。喉仏が動いたのしか見えなかった。多分、丸飲みした。深く息を吐くと、私同様そっと机の上に箸を置く。そして、スーツの懐辺りをがさごそ漁るとお財布をちらりと見せ付ける。



「あいつらには内緒でどこか食べに行こうか。」



大人ってすげぇ。へそくり使わせてしまってごめんなさい。



―――
全てに言えることは皆の分のご飯二人で食うなよと言うことである。


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