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ディオがやきもきする


夜道を歩いていると少し肌寒く感じる。もう夏も終わったんだと知らされる。本来ならばとっくにあのボロアパートに帰っている筈だったのだが、ジョジョの奴に掴まってしまった。ジョースター家にくればいいだの、ジョースター卿が心配をしているだの小うるさい戯言を続けるせいでこんな時間の帰宅になってしまったのだ。学費や生活費を工面してくれている以上、逆らうつもりはないが、ジョースター家では僕に介入してくる奴等が多過ぎて身動きが取りづらい。何をするにも、身動き出来ないことが一番厄介だ。思い出すと苛立つジョジョの戯言を頭の隅に追いやりながら、足早に歩いていればボロアパートが見えた。当然帰っていると思っていたが、部屋の明かりがついていない。別に心配などということはないが、急いで帰れば玄関先に靴はある。



「……名前?」



家に入れば、どういう訳かリビングで倒れた様に眠る名前がいた。鞄も横に置きっぱなしで服もそのまま。本当に帰ってそのまま寝た、という状態だ。名前を跨いで部屋に入った。明かりはつけずに、近くでその寝顔を見ていれば、マヌケ面をさらして安眠している。顔に掛かる髪を退かしても、特に気にする風でもなく規則正しい寝息が聞こえる。思い返せば、最近名前の奴はレポート地獄に追われていた。連日遅くまで起きていたのだろう。毎朝見る顔には、日に日に隈が濃くなっていったように思う。薄暗くて今は見えないけれど、今も隈が残っているだろうか。目元を触ってみても、分かる筈はないのだが。
もし僕がジョースター家にいってしまえば、このまま床で眠って風邪でも引いてしまうだろう。こんな床の上で寝て、体だって痛むだろう。僕がいなくなったら、こんなマヌケで何も考えていない様なこいつでも、寂しさに僕のことを思い出して泣いたりするだろうか。



「僕が名前を置いていったら、君はどうする?」



そんなことを問い掛けたところで返事は返ってくる筈もない。いや、違う。返ってこないから、こんなくだらない質問をした。きっとこいつのことだ。保護者であるジョースター卿のことや、僕が本来あるべき場所のことを考えて引き止めたりなんてしないだろう。寧ろ快く見送る可能性だってある。そんなこと、名前が考える必要なんてないというのに。心配だ何だと僕のことを子供扱いして僕の意思には気付いていないふりをする。本当に腹の立つ奴だ。むにむにと頬を摘まんでやれば流石に眉間に皺を寄せて呻っていた。



「僕は暫く帰らないぞ。」



そう吐き捨てて、相変わらず眠っている名前の唇に触れるだけのキスをした。早く僕を名前のものにすればいいのに。


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