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ノボリとにょだり

→クダリ女体化
→付き合ってる前提だよ!
→ノボリさんが凄く残念
→ノボリとにょだりの続き


「わたくしとしては、是非クダリと名前様が致している場面を生で見たいのですが、それが叶わないのであれば、録画したものでも構いません。」
「構いませんっていうか、それも叶いませんけど?」



机の上に肘を突き、顔の前で手を組んで、所謂ゲ▲ドウポーズをしているノボリさんですが、私はこんな話を聞く為だけに呼ばれたのでしょうか?ノボリさんが女性同士の恋愛が好きというマイナーな嗜好を知り、そして私達の関係を目撃してからというもの、遠慮がなくなったというか何というか…。私も暇じゃない。残業したくないし、サッサと部署に戻ろうとノボリさんに背を向けたら、ガシッと腕を掴まれた。



「まだなにか?」
「まだ話は終わってませんよ。それと書類も渡していません。」



書類という言葉に、流石にただ無駄話をする為だけに呼んだのではないようで安心した。しかしながら、最初のように向き直って書類を待っていれば、机から取り出す間に、再び先程の続きをつらつらと話し始める。



「他にも方法はあるのですよ。やはり、百合好きのわたくしとしては、是非ともお二人が致しているところに遭遇して、3Pなるものを「書類まだですか?」」



どうしてですか、なんて口を尖らせて文句を言ってくるけど、逆になぜ大丈夫だと思った?
溜め息を吐きながら書類を受け取り執務室を出る。



「わっ!」



あんまりにも呆れて俯いていたせいで、出た瞬間、誰かに正面から思い切りぶつかってしまった。ぶつかった筈なのに、なんだか顔にむちむちしたものが……。



「わっ!名前だ!」
「むぐっ!?」



やはりというか何というか、私が正面から衝突したのはクダリさんで、更には身長差と俯いていたせいもあり、顔面から胸に衝突した訳で。そのままぎゅうぎゅう抱き締められるから胸で窒息死しそう。ラッキースケベも顔負けである。しかし、別に私はラッキースケベとか求めてない。しかも、抱き締める力が思いの外強いから、苦しくてクダリさんの背中をばしばし叩いた。少し力を緩めるだけで離してくれないけど。



「ごめんね、名前が積極的で嬉しくて…」
「積極的って…。ぶつかっちゃっただけですよ…不可抗力です。」



クダリさんは照れてるせいかなんなのか、全然私の話を聞いてくれない。こうなると暫くの間はなにを言っても聞いてくれないので大人しく抱き締められていよう。嫌な訳じゃないし…。



「そういえば、名前、ノボリの所でなにしてたの?」
「え?あぁ、書類を受け取りに。」
「ノボリってば!名前はダブルの管轄なのに!」
「まぁ、共通の書類でしたので。」



口を尖らせて不満を漏らすクダリさんはやっぱりノボリさんと兄妹だ。デジャブを感じたもんね。そうして暫く執務室の前で話し込んでいれば、ガリャリ、と執務室の扉が開いた。私はクダリさんにホールドされているせいで直接振り返る事が出来ないが、先程まで私とノボリさんしかいなかった執務室からノボリさん以外の誰かが出てきたら驚く。つまりは、ノボリさんが出てきたんだと思う。ただ、ノボリさん(仮)が出てきてから、暫く頭上で行われる無言の見詰め合いはなんだろうか。皆が無言なので、私も合わせて無言になっていれば突然



「あああああなた達!!!こんな所でなにをなさっているのです!」



やはりノボリさんが大声でなにか叫んでいた。



「別になにもしてない。くっついてただけ。」
「そうではありません!なぜ最初からわたくしを呼んでくださらなかったのですか!!!」
「ノボリ邪魔だもん。」
「そんなこと言わないでくださいまし!!!お兄ちゃんも仲間に入れてくださいまし!!!」
「そういうとこ、ノボリうざい。」
「クダリイイイ!!!」



クダリさんがめちゃくちゃ冷静に思えるが、女性同士の恋愛が絡むと、常にある筈のノボリさんの平常心はどこかに飛んでいくらしい。実際にうるさいし、人の話も聞かなくなるので厄介であることは確かだ。そんなノボリさんを一蹴して、クダリさんは私のことを力強く抱き締めた。



「それにノボリ、名前に書類任せないで!名前はぼくのなんだから!」
「管轄抜けてますよ。」
「でも、ぼくのでしょ?」
「間違ってませんが。」
「REC」
「ノボリうるさい。」



ぷくーっと頬を膨らませて、本格的に拗ねる様子を見せるクダリさん。その後ろでは息遣い荒くしてるノボリさん。後ろの人はもうこの際放っておくとして、クダリさんを冷たくあしらってしまったのは自分でも頂けなかった。本当は嬉しいのだけど、それを気付かれるのがなんとなく気恥ずかしくて、いつもあんな返事ばっかり。完全にクダリさんの優しさに胡坐をかいてしまっている。ぎゅうぎゅうと再び強くなる腕に私もちょっとだけ抱き締め返す。



「名前?」



職場ではクダリさんが一方的に抱き締めてくるだけで、私はあまり抱き返したことがない。恥ずかしいのと、離れたくなくなっちゃうから。でも、今だけは特別。たまには私の愛情も伝えないと。クダリさんに愛想を尽かされたら……嫌だ。きょとん、と首を傾げるクダリさんを見上げると、やっぱり恥ずかしさが込み上げてくる。なんだか恥ずかし過ぎて涙目にまでなってきてが、ぎゅうっと力強くクダリさんのことを抱き締めて腹をくくる。そして、



「クダリさんだって、私のものでしょ?」



そう言えば、その後はクダリさんもノボリさんも凄かった。暴走的な意味で。



(名前!名前!仮眠室行こう!いますぐ!ううん!もう早退しよう!ぼくのマンション行こう!)
(はぁはぁ、スーパーブラボーでございます!わたくし早退手続きは済ませます故、このカメラに録画を)
(帰りません!帰りませんよ!)



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