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ノボリと入れ替わる2

入れ替わって数日。名前様の一挙一動がわたくしを煽って仕方がない程でしたのに(まるで思春期の男の子のようだと怒られました)入れ替わった今では、まったくそういう気分にならないのです。だからと言いますか、名前様を押し倒した時に驚かれる理由が少しだけ分かったように思います。しかし、それならばわたくしの体と入れ替わった名前様は今どうしているのでしょう?もしやムラムラしてしまって仕方がないのでは!?
わたくしの代わりにサブウェイマスターとして職場へと向かった名前様に思いを馳せておりますと、玄関の扉が開く音が聞こえました。因みにわたくしは現在名前様なので、普段よりも数時間早く帰宅致しておりました。



「ただいまー。」
「お帰りなさいまし名前様。如何でしたか?」
「如何もなにも、すっごく疲れましたよ…。ノボリさんいつもこんな大変なんですね…。お疲れ様です。」
「いえ、好んでやっている仕事ですから。それよりも、夕飯の支度が出来ております。さぁ、早く食べて明日に備えて下さいまし。」



職員を混乱させまいとクダリにだけは事情を説明してきたのですが、それでもやはり慣れないことをするのは大変だったでしょうね。まるで新妻にでもなったかのような気持で名前様からコートと鞄を受け取りました。



「あ!ノボリさん、ちょっと書類で私では分からないところがあって…。」



そう言って、わたくしの手から鞄を受け取りますと、そのまま書類の入ったファイルを取り出し、中に入っている数枚の紙を取り出したのですが



「いたっ」「っ!」



どうやら名前様が書類で指を切ってしまわれたようでした。しかしながら、少しばかりわたくしの指にも痛みが走ったので、不審に思って見てみれば、右手の人差し指から少量の血が。見れば名前様も同じ右手の人差し指から血が出ておりました。わたくしの切れた指を目敏く見付けた名前様はひどく驚いておられるようでした。



「ど、どうしたんですか?血が……。」
「分かりません。しかし、名前様が切れたタイミングでわたくしの指も切れたように思えたのですが…。」
「え?感覚共有どころの話じゃないじゃないですか。」
「まさしく運命共同体ですね。」



笑ってる場合じゃないでしょう!なんて怒られてしまいました。しかしながら、感覚を共有するのなら名前様の疲れも空腹も感じるのが道理というもの。生憎とわたくしはどちらも感じないので、もしかしたら感覚の共有も気まぐれなのではないでしょうか。

***

あれから数日過ごして分かったことは、感覚を共有するのは気まぐれであること。特に疲れてる時に頻繁に発生すること。睡眠時間を相手に与えられること、くらいでしょうか。先日、名前様が3徹目に突入した際、7時間程睡眠時間を取ったのにも関わらず、わたくしも酷い眠気に襲われまして、帰ってからなにをするよりも先にベッドに入りますと、名前様の睡眠欲がなくなったとのことでした。危険である半面、便利なところもあるようです。
そんな折、なんでしょうか。この下腹部を襲う鈍い痛みは。じんじん、ズキズキ、体は重く、まるで風邪を引いてしまったようです。しかし、起きてから時間が経つにつれて、その痛みもよくなってきたようで。はて、今朝の痛みはなんだったのでしょう。それに、あれだけ性欲が沸かなかったのに、今日は妙にそういう気分と言いましょうか。とりあえず、体の不調もありますし、今日は早く帰って名前様にご相談を……。



「ノボ……ゴホン、名前様、少々宜しいですか。」



書類をまとめておりますと、名前様がわたくしを呼び付けました。中々わたくしの真似事も様になってきているようですね。どこかげっそりした名前様の後ろをついて行きました。

***

「単刀直入に聞きますけど、ノボリさんまさか生理ですか?」
「生理?」
「排卵日です。血がでる、俗に言う女の子の日です。」
「ああ、いえ、そのようなことは。なぜです?」



なにを真剣に尋ねてくるかと思いきや、そのようなことでしたか。確かに女性には月に一度あると聞いておりましたが、名前様の体にまだそのようなことは……



「いえ、なぜか今日下腹部が痛くて、生理の痛み方だったので。男のノボリさんにそんなことある筈ないし、まさか、と思いまして。」
「そういえば、今朝下腹部が痛みましたね。それに体もだるかったように思います。あと、妙にムラムラします。」
「……多分生理前の予兆なので明日とか気をつけて下さいね…。」



女性は毎月大変なのですね。



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