sbms | ナノ
白組

→ゲーム、アニメ、海外の白組み
→ゲームクダリ、略してゲークダ、一人称ぼく、ひらがな多め
→アニメクダリ、略してアニクダ、一人称僕、漢字多め
→海外クダリ、エメット、一人称ボク、カタカナ多め
→メタ発言もあるよ!



バタバタとギアステーションに駆け込むが時すでに遅し。びしょ濡れになったワイシャツが肌にまとわりついて気持ち悪い。
お昼ご飯を買いにギアステーションを出てほんの数分のこと。コンビニに寄って、お弁当を選んでいる間に、気付けば大粒の雨が降りしきっていた。通り雨かと思って暫くコンビニで時間を潰せど止む気配はなく、お弁当を抱えながら必死に走ってきたが、このあり様というわけだ。せっかく温めてもらったお弁当はすっかり冷えてしまっているし、びしょ濡れの状態ではいくら夏といえど、冷房の利いた地下鉄では少しばかり肌寒い。ビニール袋を手に提げたまま、職員用の女子更衣室まで足早に歩く。



「わっ!どうしたの!?」



スタッフオンリーと書かれた看板を退けて、一歩中に足を踏み入れたところ、偶然にもクダリさんに遭遇した。正確に言うと、丁寧な口調の方で仕事が出来るアニメのクダリさんに、だ。
危うくぶつかりそうになったが、寸でのところで避けたので彼が濡れることはなかった筈だ。良かったと軽く胸を撫で下ろしていたのに、なにを思ったのか肩を掴んで顔を真っ赤にしながら、あわあわと慌てはじめてしまった。



「な、な、なんで、そんな格好……っ!」
「急に雨が降って来て、お弁当買いに行ってる途中で濡れちゃいました。」



ありのままを話せど、クダリさんは相変わらず挙動不審である。そして急にコートを脱いだかと思うと、私の体を覆うようにしてコートを掛けてきた。せっかくコートを濡らすまいと踏ん張った私の行動はなんだったというのか。慌ててそれを返そうとしても、前を閉めるように掴まれてしまって、じわじわ、水がコートに染みていく。



「ク、クダリさん!平気です!すぐ更衣室行きますから!」
「更衣室までその格好で行くつもり!?いや、寧ろここまでそんな格好で来てたなんて…っ!」



いや、確かに下着が透けちゃって、見たくもないもの見せちゃってるし、ワイシャツもピタピタで貧相な体型晒しちゃってるし?逆に見ちゃった人には申し訳ないけど、そんな必死に隠さなくても少しくらい我慢してくれればすぐに通り過ぎるんだし…。
内心悶々としていれば、クダリさんの後ろからひょっこり顔を出してきたもう一人の白い方。



「なにしてるの?」
「クダリ………。いや、なんでもない。」
「あっ!今なにか隠した!それに名前が君のコート着てる!変!」
「いいから!君は早く持ち場にもど「ぼくもうお仕事した!これから休憩!」



一人称が口を挟む暇もなしに二人で言い合いを続けていたが、隠し事をするアニクダさんにむすっと不機嫌になったもう一人の片言で子供っぽいゲームのクダリさんが一人称をコートごと抱き締めた。



「わっ!ク、クダリさん!」
「あれ?名前冷たい。風邪?」
「いえ、ちょっと雨に……」
「クダリ!!!」



不機嫌な顔と真っ赤な顔で睨み合っている。そんなことより、一応ここ廊下なんですけど。

***

「クダリさん、あのー……。」
「どうかした?」
「着替え忘れちゃって……。」



あの後、なんとか事情を説明して女子更衣室に駆け込んだのは良いものの、肝心の着替えが底をついていたようで、ロッカーには下着くらいしか置いていなかった。どうしようかと考えた末に出た結果が、今着ているものを乾かすこと。そして、コートを掴んだままクダリさんのいる執務室へ足を運んだのだ。



「えっ?ど、どうしよう…。」
「あの、出来れば炎ポケモンを貸し「じゃあぼくの貸してあげる!」



相変わらず話を途中で遮るのが上手いな!一人称の返事など待たずにサッとロッカーからワイシャツを取り出したゲークダさん。身長差からも分かるように、ゲークダさんの持つワイシャツは見るからに大きい。例え、平均より大きな女の子であったとしても、それなりに大きいのではないだろうか。



「いえ、あの大き過ぎます。炎ポケモンを貸して頂ければ、その子に乾かしてもらうので。」
「その間どうするの?裸?」
「ゲホッ!!!」
「わー、ちょっと汚いよ、クダリ!」



コーヒーを啜っていたアニクダさんの心境になにがあったのかは察するとして、なんて純情なんだろうなんて、まるで他人事のように眺めていた。ある程度息が整うと、若干涙目のアニクダさんが、必死になって弁明をしていたけど、ゲークダさんにも、勿論一人称も分かってるから。アニクダさんの反応は最早この歳では絶滅危惧種じゃないだろうか。
そんなことを考えていたら、ゲークダさんがぐいぐいとワイシャツを押しつけてくる。最終的にはサブウェイマスター専用に設けられた執務室の仮眠室に押し込まれて、着替えてきてね!なんて。ついでと言わんばかりにスラックスまで放り投げられた。

***

「あの、流石に大きいんですけど…。」
「着替えた?」
「着替えましたけど…。」



恐る恐る仮眠室のドアを開けて顔だけを覗かせた。鏡はなかったけれど、袖もウエストもぶかぶかで、ワイシャツは膝上くらいまであるし、スラックスはずり落ちるしで、ひどくみっともない。こんなだらしない格好で出て行ったら、それこそアニクダさんに怒られてしまう。ずるずると、ズルッグのようにずり落ちるスラックスを片手で持ちながら、なんとかポケモンを貸してもらわねばと、クダリさん達に声をかけようとしたのだが



「わあっ!?」



なにかに腰を掴まれてそのまま仮眠室に逆戻り。驚いて振り向くと、そこには金髪でにこにこと柔和な笑みを浮かべた三人目の白いの。にこにことした表情は崩さず、するすると腰を撫でて、その手は下に伸びた。



「エメットさん!」
「バレちゃったー!名前ってば気付くの早いね!」
「お尻触んないで!」



ごく自然にセクハラをしてくるエメットさんの腕を叩き落した。酷いなぁ、なんて言いながら腰に回した腕は相変わらず離れないし、余計に体を近付けてくる。ち、近い!なにもかもが近い!必死になって押し返しても、それをまるで面白がってるようで、正面から抱くようにして顔を近付けられて、思わずぎゅうっと固く目を瞑った。



「「エメット!」」



二人の声が重なると同時に軽くなる体。そうっと目を開けると、ゲークダさんがエメットさんをタコ殴りにしていた。見なかったことにしよう。ずるずると服を引きずりながら執務室へとアニクダさんと戻った。

***

「ゴメンネー!だってね、仮眠室で寝てたらビショ濡れになった名前が入ってきて生着替え始めるんだもん!ボク興奮しちゃった!」
「ぎゃー!なに見てんですか!」
「そ、そうだよ!君は女性の着替えを」
「エメットずるい!ぼくも見たい!」
「おい。」



タコ殴りにされたエメットさんは全身ボロボロだったけど、なんてことない様子で謝罪とも取れぬ謝罪を口にした。というか最早謝罪ではない。一人称の着替えなんて見てなにが楽しいのか分からないが、ゲークダさんが悪ノリしてエメットさんと二人、ひそひそと話し始めているあたり、覗きの計画でも立てているのだろうか。もうここに一人称の味方はアニクダさんしかいない。スケベ丸出しな二人は放っておいて、いい加減服を乾かすべく炎ポケモンを借りなければ。



「あの、クダリさん?」
「…なんだい?」
「炎ポケモンを貸してもらえませんか?」



一瞬キョトンと首を傾げたアニクダさんだったけれど、すぐに察してくれたようでモンスターボールからシャンデラを取り出してくれた。シャンッ!と元気よく出てきてくれたシャンデラに服の近くにいてもらって、どうにか乾くまで待つ必要がある。それまでは流石にこんな格好では外を出歩くなんて出来ないし…。



「名前これも着て!」
「あとこれも!」



ゲークダさんがこれ、といってサブウェイマスターのコートを押しつけて、エメットさんが制帽を押しつけてくる。この期に及んでまだ着せるのか、と少々呆れつつも、どうせ服が乾くまでは暇だし、逆らうと面倒なので、いそいそとコートを着て制帽を被る。どちらも大きくて、コートで手は完全に隠れてしまってるし、帽子は、少しだけずれる。あれ、こんなに服大きいのに制帽のサイズがこれって……。
多少ダメージを受けつつも、二人を見遣ればキラキラと子供のように綺麗な瞳でこっちを見つめていたので、ついでに額に手を当てて、クダリさんがよくするポーズをきめて彼等の前口上を言ってやった。



「Verrrrrrrry cute!!!!!!!!!!」
「名前それ絶対ぼく達以外の前でやっちゃだめ!」
「く、苦しいっ!」



どうだ!とドヤ顔していたら、すぐさま、まるで羽交い絞めでもしてるんじゃないかという勢いでエメットさんが飛びついてきた。力加減がないせいか胸板に顔を押し付けられて息がしにくい。しかしながら、追い打ちをかけるが如く後ろからゲークダさんまで抱きついてくるから、呼吸がままならない。押し潰される。唸っても二人は一人称の声なんて聞こえていないようで、ぎゅうぎゅうと抱きしめては頬ずりしたり、首筋に顔を埋めてくる。



「ちょ、本当にくるし……っ!」
「二人とも!止めないか!」



クダリさんマジ天使というより、アニクダさんマジ天使。
スパーンと書類らしきもので二人の頭を叩くと、それに驚いているうちにベリベリと一人称からエメットさんとゲークダさんを引き離してくれた。急に支えが無くなってペタリと床に座り込んでしまったが、正直呼吸が整わないのでそれどころではない。



「大丈夫かい?まったく……あの二人は手加減を知らないから。」
「だ、大丈夫です……。」



一人称を気遣って立たせてくれたアニクダさんとは大違いで、元凶の二人はむすっと不機嫌そうに正座させられていた。しかし、ストッパーはアニクダさんしかいないし、このままじゃクダリさん達の書類整理の邪魔をしてしまう。一人称自身、こんな格好で書類整理をする訳にもいかないし、一度ノボリさんの執務室に避難させてもらった方が良さそうだ。仮眠室へ戻って自分の服を引っ掴んでをまとめ、アニクダさんから借りたシャンデラにもお礼を言ってモンスターボールに戻ってもらう。



「シャンデラありがとう。」
「名前ちゃん?まだ服乾いてないみたいだけど…。」
「ここにいると二人が遊んで仕事しないみたいですし、クダリさんの邪魔にもなりますから、一度ノボリさんの所にでも避難させてもら「「「だめ!!!」」」
「え?」



おうと思います。
とは、最後まで言えず、三人から一斉に提案を否定されてしまった。アニクダさんはともかくとしても、他の二人まで妙に神妙な顔つきをしている。訳が分からず頭にクエスチョンマークを浮かべていれば、がっしりと肩を掴んできたゲークダさんが、これでもかというくらいに顔を近づけてきて正直怖い。あと近い。



「だめだめ!絶対だめ!名前ノボリのこと全然分かってない!ノボリすっごくムッツリ!」
「そうだよ!ノボリ兄さんの所になんて行ったら、この二人どころじゃ済まないよ!?」
「インゴがどれだけキミのこと気に入ってるか分かってる!?そんな格好でインゴのトコロなんて行ったら食べられるよ!?」
「いや、そんな大袈裟な…」
「「「大袈裟じゃない!!!」」」



弟組は兄組を一体なんだと思ってるんだ。
行かないで!と泣き叫ぶクダリさんが、また性懲りもなく抱き付いてくる。それを合図にエメットさんまで絶対行かせないからね!とか、アニクダさんもアニクダさんで必死になって留めようとするから、面倒だし適当に相槌を打って結局はここに居座ることとなった。



(ごめんね、シャンデラ。一人称の服もう一度乾かしてくれる?)
(シャーン!)
(ノボリってばこの前だってね)
(そんなこと言ったらノボリ兄さんだって)
(そんなのインゴに比べたら可愛いもんだよ…)
(ノボリさんって一体……)



―――
グダグダしてしまいましたが、桜さんへ



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