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口うるさい

毎日毎日厳選厳選厳選厳選厳選厳選……。目の下には隈が広がり、家とバトルサブウェイを行き来するだけの日々。俗に言う廃人な私なのだが、これだけ廃人生活を順調に送っているのに未だサブウェイマスターに辿り着いたことがない。今まで一度も、だ。今日こそは今日こそはと思い挑むのだが、鉄道員さんの強さ異常。あれは廃人と言わざるを得ない。廃人に認められる廃人。廃人of the king だよ。



「惜しかったね。」
「クダリさん…。」
「今のバトル、ぼくみてた。惜しかった。」



たった今、私はシングルトレインを下りた。連勝記録を更新したものの、ノボリさんまで辿り着けないという事実がやはり私を素直に喜ばせてはくれなかった。慰めてくれるクダリさんにはとても申し訳ないが、貴方にも毎度辿り着けないんですが。バトル後の余韻もあってか私はちょっとイライラしていた。もうここまでくると慰めが惨めに感じてしまう。



「おや、名前様。」
「ノボリさん…。」
「この度は連勝記録を伸ばされたではございませんか。もう少し喜ばれませんとバトルしたポケモン達も浮かばれませんよ?」



今日に限ってノボリさんはよく喋る。イライラしているのに。ただ、ノボリさんが言うことも一理ある。だからこそ余計にイライラするのだけれども。



「名前様のポケモン達は皆よく育てられていますが、後少し経験が足りません。それはポケモン達だけでなく名前様にも言えることにございます。」
「バトルサブウェイで経験を詰むと良いでしょう。ああ、その間育成も怠ってはなりません。ポケモンの状態も日々変化しますので体調管理もトレーナーの役目でございます。」
「勿論名前様も日々の自己管理を徹底して下さいまし。そろそろ朝夕の寒さが厳しくなっております。名前様が風邪を召されては元もこもございません。トレイン内はお客様の為に暖房を効かせておりますが、暖房の風が喉の風邪を引き起こす原因にもなりますし――――」



途中から話なんかほとんど聞いてなかった。聞いてる余裕もないくらいに私のイライラは頂点に達していたからだ。最後の方とかアドバイスじゃなかった気がする。だが、私ももう大人。ギアステーションのど真ん中で怒鳴り散らしたんじゃ、そこら辺のちっちゃい子と同じだ。しかし、尚も廃人への道指導をべらべら話し続けるノボリさんに一泡吹かせたい。だいたい私がノボリさんに辿り着けないのは鉄道員さんを廃人に育成したノボリさんのせいじゃないか!そんなノボリさんが鉄道員さんに守られてるからじゃないか!怒りとは恐ろしいもので正常な判断をさせてはくれない。その時の私は怒りのテンションをそのままに、ノボリさんに向かって言葉を贈ってギアステーションを爽快と後にしたのだった。



「アンタはお姫様か!」



ぽかんとしたノボリさんの顔を見そこねたのは後々クダリさんから聞いた話である。



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