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アニノボとお風呂

「さぁさ、遠慮なさらずに!」
「いや、お前は遠慮しろ?」



お風呂のドアを開けたら我が物顔で浴槽に浸かる上司(兼恋人)がいた。聞きたいことはいろいろあるけれど、咄嗟にドアを閉めてタオルを体に巻きつける。なんせお風呂に入るつもりだったのだから真っ裸だったのである。



「なぜ閉めるのです!わたくしのことはお気になさらずに!」
「存在感を主張し過ぎてますよ…。」



ぎゃんぎゃん騒ぐノボリさんは無視するとして、タオルを巻いたはいいけど、ノボリさんが入っている以上、私はお風呂に入れない訳で。服を着直して待っていようと衣服を掴んだところで、ガラッと開いたドアからノボリさんが現れた。勿論素っ裸なので、私は振り返らない。



「せっかくですから、一緒に入ってしまいましょう!電気代も浮きますよ。」
「元々一人だったらそんな心配する必要なかったんですけど?」
「さぁさ、どうぞ!」
「わっ!」



ノボリさんに引っ張られる形で強制お風呂。冷えた体は温まっていくが、なんだか納得出来ない。少しばかり機嫌を損ねている間にノボリさんはお風呂場の電気を消してしまった。なぜ、と思った矢先に浴槽から浮かび上がる青白い光。



「なんですか?これ。」
「ふふ、凄いでしょう?ヒトモシランプ、お風呂バージョンでございます。」
「………。」



お湯にぷかぷか浮かぶヒトモシはとっても可愛い。可愛いけれど、お湯に入れるのになんでヒトモシ…。なにかが引っ掛かりながらも、黙ってそのヒトモシを見詰めていると、暗がりでも分かるくらい近くにノボリさんの顔が。



「!?」
「お気に召しませんでしたか?」
「え?あ、あぁ、いえ、そんなことは…。」
「名前様の入浴のお供にと買ってきたのでございます。最近お疲れだと聞いていたので。これで少しでも癒されてくれればと。」
「そうだったんですか…。」



ヒトモシを手に取り眺めると、その淡い光が今日一日の激務を癒してくれるような、そんな気がした。単純だなぁ、なんて思いながらノボリさんを見遣ると、にこにこと人当たりの良さそうな笑顔で、こちらの反応を伺っているようだった。



「ありがとうございます。明日からもお風呂が楽しみです。」
「いいえ、名前様に喜んで頂けるのでしたら、わたくしも買った甲斐があります。」



向かい合わせに座るせいで、少し狭くはあるけれど、二人でヒトモシを囲んでお風呂に入るのも、悪くはない。



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