Present for Lovers

寒さが苦手な理由 PAGE.1


早朝の体育館。

私は自主練をしようと向かったのだが、先客がいるらしい…

(誰だろう…?)

そっと扉を開け、中を見つめる。

(うっ…男バスか…怖い人多いんだよな…)

そう思っていても仕方ない。

思い切って扉を開ける。

「おはようございます!」

彼はリングにボールが吸い込まれるのを確認すると振り返った。

「…おはよう。」

ぶっきらぼうな口調に私は特に気にすることもなく、練習を始めた。

私はサーブの練習を繰り返す。

もちろん、闇雲に練習している訳ではない。

狙ったポイントにいかにして打てるようになるか。

考えながらやらないと上達しない。

20分ほど経って休憩にする。

ふと、バスケ部の彼を見ると、ロングシュートの練習をしている。

それもポジションを微妙に変えながら。

(私と同じだ…)

どんな位置からでも確実にシュートを決めれるように練習しているのだ。

怖いと思っていたがほんの少しだけ、親近感が湧いた。

私は練習を再開した。

また同じ内容だ。

そこに携帯が鳴る。

練習の終わりを告げるアラーム音だった。

ボールを片付けていると彼に声をかけられる。「おい、こっちにもボール落ちてるぜ?」

彼の方を向くと、遠くにいた彼の手からボールが離れた。

きれいな放物線を描いたボールはすっぽりと私の手に収まった。

「ナイスシュート!」

思わず叫んだ私に彼はびっくりしたような表情の後、笑った。

「面白いヤツだな。お前、名前何てぇんだ?」

「檜山リナ。」

「俺は来栖アキラ。じゃあな、お疲れ。」

不意打ちすぎる彼の笑顔に『恋』という感情が芽生えるのは、そう遠くない先のことだった。



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