寒さが苦手な理由 PAGE.4
試合後、アキラさんはチームメイトのみんなと一緒に出てきた。
アキラさんがみんなと別れる時に、マネージャーの女の子がひどく悲しそうな顔をしているのが見えた。
(あぁ、アキラさんのこと、好きなんだな…)
そんなことを考えてるとアキラさんがやって来た。
私は明るく振る舞った。
「アキラさん、おめでとう。」
「サンキュ。お守り、効いたかもな。」
「ふふっ。そう言ってもらえると嬉しいな。」
二人で歩き出す。
「何か、ヤケに寒くねー?」
「うん、ちょっとね。もしかして、アキラさん、寒いの苦手?」
「う…ん。スノボとかやってる時はいいけど、普段はイヤだな。コタツで丸くなる方がいーよ。」
その言葉に私は思いっきり笑ってしまった。
「やっぱりアキラさんってネコみたいだね。」
「やっぱりって何だよ?」
少しふてくされるアキラさん。
「あのね、今日初めて試合中のアキラさんを見て、流れるような素早い動きがネコにそっくりだと思ったの。ほら、ネコって捕まえようとすると、すり抜けて行っちゃったりするでしょ?もう動きがネコそっくり!きれいな動きに私、ずっと見とれてたんだよ?」
アキラさんはふぅっとため息をついた。
「なぁー、リナ。それって褒めてんのか?」
「もちろん。アキラさん、カッコよかったよ!」
顔をほんのり赤くするアキラさん。
「お前、本人目の前にして…」
「だって、悪口じゃないんだし、いいじゃない。それに言わないと伝わらないことだってあるんだから。」
アキラさんはフッと笑う。
「ホント、お前はいつもストレートだよな。かなわねー。」
アキラさんが急に真剣な目付きになる。
「ネコってプライドが高くて、人になつかないだろ?でも好きなヤツにはとことん甘える…リナ、覚悟はできてんだろーな。」
「もちろんだよ。まかせて。…ねぇ、マネージャーの子、アキラさんのこと好きなんでしょ?」
「あぁ…彼女はいい子なんだけど、後ろからついてきてくれる子じゃなくて一緒に歩いてくれる子の方が俺には合ってるからな。つーことでやっぱ、俺にはリナしか合わねえよ。」
アキラさんがギュッと抱きしめてくれた。「お前、身長、今のままでいい…あと10p高かったら…俺、スゲーかっこわりーから…」
「アキラさんも今のままがいい。だって、キスが届かないとイヤだもん。」
「ったく…」
苦手な寒さに立ち向かえるくらいの熱いキスを交わす。
そしてそっと寄り添いながら夜景を眺めるのだった。
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