寒さが苦手な理由 PAGE.2
私はあの日から、自主練が楽しみになっていた。
さすがに毎朝、顔を合わすと自然に会話も増えてくる。
最初は他愛のない会話ばかりだったが、いつしか悩みも話せるようになっていた。
それは身長のことだった。
私は160pしかない。
バレーボールのプレーヤーとしては最も小柄な部類だ。
アキラさんもバスケのプレーヤーとしては、小さい方だ。
二人そろって『あと10pあればね〜!』
なぁんて、顔を見合わせて笑うこともある。
お互いに背が低いというコンプレックスは乗り越えてはいるものの、たまにふとした時に『あと10p』と思うこともある。
こんなことは今まで誰にも話せなかった。
そしてその頃にはアキラさんに対する気持ちは『恋』に変わっていた。
いつものようにアキラさんと話していた。
「リナ、大きな試合があるから見に来いよ。」
アキラさんの誘いが嬉しかった。
「うん。見に行くよ。いつ?」
「クリスマスの前後。」
「えーっ?そんな時期に試合あるんだ?それじゃ彼女とゆっくり過ごせないね?」
アキラさんは顔を赤くして反論する。
「俺、彼女なんかいねえよ。」
「とか言って、顔が赤いよ?」
「バ、バカ!これは、お前が急にそういう話、するからだろーが。」
「照れてるの?」
「バカ、ちげえよ。」
少し拗ねた様子のアキラさんは、かわいく思えた。
「ごめんなさい。何かおわびするよ。許して?」
「じゃあ、試合の時、差し入れに来い。それで勘弁してやる。」
「うん。よかった〜。機嫌直してくれて!」
私がニッコリ笑うとアキラさんも笑った。
「ったく…お前にはかなわねえな…」
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