Jewel Box

オリオンの下で PAGE.1


私は今、星が煌めく夜空の下にいる。


憧れの人でもあり、大好きな人でもある、あの人と一緒にいる。


そう、隣りには千葉先輩がいるんだ。




相互記念
SPIELFUHRER/樹々様へ
『オリオンの下で』




私は千葉先輩と並んで帰っている。


部誌を書き終えて部室を出ると、ちょうど監督と話を終えた千葉先輩と出くわした。


そのまま別々に帰る理由もなく、こうなったという訳だ。


(千葉先輩と帰れるなんて嬉しいな。けど何を話せばいいんだろう…)


私は必死に頭を回転させる。


神坂先輩や早乙女先輩とはよく取り留めのない会話もするが、千葉先輩とは部活のこと以外、話した記憶がほとんどなかった。


だから、私は会話の糸口を探していた。


すると千葉先輩にふと声をかけられる。


「鍵谷さん、どうした?俺の顔に何か付いているか?」


「えっ?」


真面目な顔で聞いてくる千葉先輩に、一瞬ぽかんとしてしまう。


しかし、私はすぐさま状況を把握した。

(わ///いつの間にか先輩の顔見つめてた…!)


どうやら話題を探している内に、私は無意識に千葉先輩の顔まで見てしまっていたらしい。


「す、すみません!何も付いていないです!」


私は慌てて、先輩の問いかけを否定する。


「そうか」


千葉先輩は一言そう言うと、ふっと目を細めて微笑み、それ以上は何も言ってこなかった。


(変な人に思われた…かな?気をつけなきゃ…)


私は気を取り直そうと、そっと天を仰いで深呼吸をする。


すると、頭上にはたくさんの星空が広がっていることに気づいた。


私は千葉先輩に、星の話をしてみることにした。



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