Jewel Box

オリオンの下で PAGE.2


「千葉先輩、今日は星空がとてもキレイですね」


私の言葉に、千葉先輩も空を見上げる。


「本当だ。今日はいつもよりよく見える」


「いつも?よく星を見るんですか?」


千葉先輩が私の質問に、大きく頷く。


「ああ。よく帰り道にふと空を見たりする」


「そうなんですか。星空を見ると、何だか落ち着きますもんね」


「そうだな」


そう言って、千葉先輩がまた微笑んでくれる。


(よかった…星の話は嫌じゃないみたい)


私は突拍子ない話じゃないかと心配だったが、千葉先輩の言葉を聞いて安心する。


ほっと一息ついたところで、千葉先輩に呼ばれた。


「鍵谷さんは、あの星は知っているか?」


千葉先輩が指さす方に目を向ける。


そこには真ん中の3つの星と、それを囲む4つの星があった。


「あれですか?確か…オリオン座、ですよね?」


「その通り、オリオン座だ」


(理科の授業、覚えててよかった)


私は心の中で、冷や汗を拭った。


「じゃあ、オリオン座の元となった、ギリシャ神話のオリオンは知っているか?」


私は首を横に振る。


「いえ、ギリシャ神話は知らないです」


「そうか…。少し話してもいい?」


千葉先輩からそう言ってもらえて、私はすごく嬉しかった。


「はい、聞かせて下さい!」


私はつい、思い切り頷いてしまった。


千葉先輩はそんな私を見て、クスッと笑う。


眼鏡を軽く押し上げ、私に優しく語りかけてきた。



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