Kazuki Chiba

彼のほほえみ PAGE.7


ベッドで眠る千葉先輩のそばに座り、先輩を見つめる。

(先輩の寝顔なんて初めて見るな…)

しばらくして船橋先生がやって来た。

「鍵谷先生、後は僕がついてますから、戻ってもらっていいですよ。」

「えっ…でも…」

せめて千葉先輩が目覚めるまではそばにいたいと思っていた私は返事に困る。

そんな私の様子に気付いた船橋先生はクスッと笑う。

「鍵谷先生、一旦幼稚園に戻ってご自分の荷物を取って来られたら?それに服装だって…」

船橋先生の言葉に自分を見渡すと…

急いで来たのでジャージのままだった。

急に恥ずかしくなり顔が熱くなる。

「あっ…そうですね!何も考えずに来たから…じゃあ、すぐに戻って来ますので先輩のことお願いします。」

「わかりました。行ってらっしゃい。」

こうして私は幼稚園に戻った。

園長先生に事情を話し、再び病院に向かった。

病室に入ると、千葉先輩はまだ目を覚ましていない。

船橋先生も疲れているみたいだった。

「船橋先生、お腹すいてませんか?買ってきたので一緒に食べましょうよ。」

私は船橋先生におにぎりやらサンドウィッチを差し出す。

「そうだね。じゃあ、いただくよ。」

私達は食べながら話をしだした。

「船橋先生、千葉先輩のご家族に連絡しました?」

船橋先生は無言のまま、私をジッと見る。

「船橋先生…?」

「千葉のご両親は亡くなられていて、兄弟もいないから…」

「…じゃあ、今は一人暮らしなんですか?」

船橋先生は無言で頷いた。



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