彼のほほえみ PAGE.6
救急車で病院に運ばれる千葉先輩。
私は迷わず一緒に乗り込んだ。
病院に到着し、私は待合室で待つ。
どのくらい経っただろう。
いつまで経っても扉は閉ざされたまま…
不安が広がっていく。
「鍵谷先生。」
名前を呼ばれ、顔を上げると船橋先生が立っていた。
「千葉は…?」
私は力なく首を横に振る。
「船橋先生、すみませんでした。千葉先輩がこんなことになってしまって…」
「鍵谷先生のせいじゃないですよ。それに子供は無事だったからよかったです。千葉もきっとそう思ってますよ。」
「でも…」
私が答えようとした時、扉が開き先生が出てきた。
「先生!千葉先輩の様子は?!」
私がよっぽど必死だったのだろう。
先生は優しく笑って答えてくれた。
「大丈夫ですよ。頭のケガも大したことありません。足も軽いキズです。頭をうってますので一応2、3日は入院してもらいますがね。」
「先生!ありがとうございました!」
「私は特に何もしていませんよ。では。」
先生はクスッと笑って去って言った。
ホッとした私は緊張がほぐれたせいか、その場に座り込んでしまった。
「鍵谷先生!大丈夫ですか?!」
船橋先生が慌てて私の顔を覗き込む。
「アハハ…大丈夫です。安心したら力がぬけちゃって…」
「じゃあ、僕は入院の手続きしてきます。鍵谷先生は千葉についてて下さい。」
「はい、わかりました。お願いします。」
治療室から出てきた千葉先輩について私は病室に向かった。
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