彼のほほえみ PAGE.4
そして4月になり、今日はサッカー教室。
(千葉先輩、大丈夫かなぁ…?)
船橋先生が子供達に声をかける。
「みんなー!こんにちは!」
「こんにちは!」
子供達も元気に挨拶をする。
「今日、はじめてのお友達も今までサッカーをやってたお友達も楽しくサッカーができるように先生達も応援します。まずは先生達の顔と名前を覚えてくださーい!」
「はーい!」
先生達の自己紹介が続く。
次はいよいよ千葉先輩の番。
私はドキドキしながら千葉先輩を見つめる。
千葉先輩と目が合った。
少し微笑んで視線を私から子供達に移す。
千葉先輩はニッコリ笑う。
「こんにちは!千葉一樹です。みんなと一緒にサッカーを楽しみたいです。よろしくお願いしまーす!」
ニコニコしながら子供達を優しく見つめる、千葉先輩。
私は驚きのあまり、腰が抜けそうになった。
(ち…千葉先輩が!別人だ!)
練習が始まっても先輩はニコニコしたまま、楽しそうに子供達とボールを蹴っている。
(…あり得ない!私の知ってる千葉先輩じゃない!)
練習が終わり、子供達は先生達とハイタッチを交わす。
「一樹せんせー!楽しかった!またね!」
「先生も楽しかったよ。バイバイ!」
(バイバイ?!)
今まで一度もそんなこと言ってるのを聞いたことがない。
呆然としている私に千葉先輩が声をかける。
「鍵谷さん、驚いただろう?」
千葉先輩はいつも通りに戻っている。
私は言葉が出てこなくて頷くしかなかった。
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