Kazuki Chiba

彼のほほえみ PAGE.1


「樹々せんせーい!さよーなら!」

「樹々せんせっ!バイバイ!」

あちこちから元気なあいさつが聞こえる。

陵泉高校を卒業して5年。

私は今、幼稚園の先生だ。

(明日から春休み。少しは楽になるけど、子供達がいないとやっぱり寂しいんだよね。)

そんなことを考えながら子供達を見送る。

今日はこれから園の課外教室の打ち合わせ。

幼稚園では保育時間終了後に様々な課外教室が行われている。

スイミング、体操、サッカーなどのスポーツから絵画、英会話なんていうのもある。

基本はそれぞれの教室の先生達が指導するのだが私達幼稚園の先生もお手伝いすることもある。

私は高校時代、サッカー部のマネージャーをしていたこともあり、ずっとサッカー教室の担当だ。

準備をすませ、打ち合わせの場所へ向かった。

誰もいなかったのでサッカー教室の資料を読んでみる。

(まぁ…毎年同じ内容だからね。)

特に指導方法や内容に変更点は見られない。

ドアの開く音が聞こえたので、顔を上げた。

「鍵谷先生、お待たせしました。」

サッカー教室の責任者の船橋先生に声をかけられた。



前へ 次へ しおりを挟む


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -