Kazuki Chiba

そのままの君が好き PAGE.1


元日の朝。

「ん…もう朝?」

時計を見て、私は飛び起きた。

「ウソ!もうこんな時間!?」

今日は千葉先輩と初詣に行く約束をしている。

なのに、もう約束の30分前。

「うわぁ!急がなきゃ!!!!」

今日のために着物を用意していた。

慌ててお母さんに手伝ってもらって何とか支度ができた。

(う〜。絶対間に合わない!)

確実に待たせてしまうので遅れるとメールを入れたらすぐに返事がきた。

『君はすぐつまずくので、慌ててこないように。』

(うっ、千葉先輩相変わらず厳しい…)



ようやく待ち合わせの場所に着いたものの、人が多くて見つからない。

(先輩どこだろう?)

先輩は背が高いのでいつもならすぐに見つけることができるが、さすがに今日は人が多すぎる。

キョロキョロと見回していると後ろから声をかけられる。

「鍵谷さん。」

振り返ると…

着物姿の千葉先輩が立っていた。

初めて見る先輩の着物姿に驚いて見とれてしまった。

「鍵谷さん、どうした?」

「先輩…着物姿、とても似合っていて…素敵です。」

私の言葉に優しく微笑む千葉先輩。

「ありがとう。その言葉はそのまま鍵谷さんに返そう。よく似合っていて、とても…綺麗だ。」

まっすぐ私を見つめる千葉先輩の瞳にドキッとする。

「さぁ、行こうか。」

千葉先輩は私の手をギュッと握った。

「はぐれると困るからな。それに…君を離したくない。」

今日の千葉先輩は何だか、いつもより饒舌だ。

それに気持ちをストレートに言葉にしている。

私は何だか、不思議な気持ちになった。




私達はお参りするために神社へ向かった。

この神社は勝負事、特にスポーツにご利益があると評判だ。

私の願いはただ一つ。

選手権での優勝。

私は千葉先輩、そしてサッカー部全員の顔を頭の中に思い浮かべながら、心を込めて、神様にお願いした。

「随分と長かったな。」

お参りが終わり、千葉先輩に声をかけられる。

「ふふっ。そりゃ、そうですよ。みんなの分もお願いしましたから。」

「鍵谷さんは優しいな。」

「そんなことないですよ。マネージャーとして当然です。」

「頼もしいマネージャーがいてくれて、俺も助かる。」

何だか、誉められてむずがゆい。

「鍵谷さん、この後、どこか行きたいところはあるか?」

「えっと、特には考えてなかったですけど…」

「じゃあ、付いてきてくれるか?」

「はい。でもどこへ?」

「それは着いてから…」



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