Kazuki Chiba

あなたという奇跡の存在 PAGE.6


季節は冬。

千葉くんと過ごすようになってから時の過ぎるのが早い。

選手権出場を決めた、陵泉高校サッカー部。

私は千葉くんが風邪をひかないようにと思い、マフラーを編むことにした。

街の手芸屋さんで毛糸を探していた。

(あっ、この色、千葉くんにピッタリ!)

そう思っていると、近くにいた陵泉高校の女子生徒達の会話が聞こえた。

「ねぇ、誰にマフラー編むの?」

「千葉くんだよ。」

(えっ?)

私は思わず聞き耳をたてた。

「千葉くんってサッカー部の?年下じゃん。」

「えーっ。でも大人っぽくてかっこいいよ。」

「サッカー部だったら神坂くんの方がいいな。」

「でも神坂くんは倍率高いから無理だよ。千葉くんなら手作りマフラーでも渡せばきっと落ちるよ。」

怒りが込み上げてきたものの、何も言えない。

女の子達が立ち去った後も悔しくてしばらく動けなかった。



私は千葉くんのことを想い、一針一針祈るように編んでいき、時間はかかったが完成した。



クリスマスイブ。

千葉くんは部活があるので、駅前にある大きなクリスマスツリーのところで待ち合わせをした。

「千葉くん!」

「先に来ていたのだろう?暖かい所で待っていたか?」

いつも私の体調を気遣ってくれる。

「うん!」

笑顔で答えると千葉くんも嬉しそうに微笑んだ。

「ツリー、きれいだね。もう少し見てもいい?」

「あぁ、構わないが、寒くなったらすぐに言ってくれ。」

頷きながら千葉くんの手をそっと握る。

千葉くんはギュッと握り返してくれた。

「いつもすまない。一緒にいる時間が少なくて…」

「ううん。そんなの気にしないで。だって、選手権控えてるんだもの。少し会えるだけで十分だよ。私の方こそ、ごめんね。忙しいのに時間作ってくれて…」

「いや、俺だって、樹々に会いたいんだ。この笑顔が俺を元気づけてくれるから。ありがとう。樹々…」

そっと優しいキスを交わす。

「千葉くん、プレゼントがあるの。」

「俺も樹々に…」

お互いにプレゼントを交換する。

「ねぇ、開けてもいい?」

「もちろん。じゃ、俺もいいか?」

私が頷くと、二人同時に開けた。

「うわぁ…!千葉くん、ありがとう。私、すごく嬉しい。」

千葉くんからのプレゼントは、クローバーのペンダント。

「一目見て樹々に似合うと思った。つけてくれるか?」

「もちろん!今すぐつけちゃう!」

ペンダントをつけた私をジッと見る千葉くん。

「やっぱり似合う。このマフラーは樹々が編んでくれたのか?」

「うん。色がきれいで千葉くんにピッタリだと思ったの。」

千葉くんは微笑みながらマフラーを巻いた。

「どうだ?」

「うん!やっぱり思った通り。バッチリだよ。」

「このマフラー、ペンダントと同じ色だな。気持ちが通じ合ってるのが嬉しい。」

私はニッコリ微笑んで一言付け加えた。

「色だけじゃないんだよ?」

「えっ?」

「それはおうちに帰ってから確認してね!」

「教えてくれないのか?」

「内緒!今度会った時に答えを聞くからね!」

千葉くんに後ろからギュッと抱きしめられて耳元で囁かれた。

「樹々、ありがとう。マフラー、大切にするよ。もちろん、君のことも…」

静かに降りだした雪を二人で微笑みながら見つめていた。





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