Kazuki Chiba

あなたという奇跡の存在 PAGE.5


インターハイが終わってから千葉くんは忙しくて、ようやく会えたのは1ヶ月後のことだった。

今日は天気がいいので公園でのんびり過ごすことになった。

「千葉くん、遅くなっちゃったけど、インターハイ優勝おめでとう。」

「ありがとう。」

「千葉くんって女の子から人気あるんだね。みんなの声援がすごくてびっくりしちゃった。」

「それは俺個人ではなく、みんなへの声援だろう。」

「えーっ。そんなことないよ?私の近くにいた女の子はずーっと千葉くんの応援してたよ。」

「そうか?ピッチに立っていると聞こえないからな。」

「そうだよね。遠いからわからないよね。」

千葉くんは眼鏡を押し上げる。

「でも樹々の声だけは聞こえた。」

「ウソ!」

「本当だ。樹々の方を見ただろう?」

コクコクと頷く私。

「…不思議だな。樹々の声だけはどこにいても聞こえる。それだけ君は特別な存在なのだろう。」

恥ずかしくて真っ赤になった私は、慌てて話題を変えるように言った。

「ねっ、千葉くん、優勝のお祝いがしたいんだけど、何がいい?」

「お祝いか……じゃ、目を閉じてくれないか?」

「えっ?」

「早く…」

ドキドキしながら目を閉じる。

私の目の前から千葉くんの気配が消える。

「千葉くん?」

呼びかけたと同時に足に重みを感じる。

「開けていいよ。」

私の太ももには千葉くんの頭が…

そう、膝枕だった。

「ち、千葉くん!」

「これが俺へのお祝いだ。」

千葉くんは涼しい顔をしている。

私はこんなに恥ずかしいのに…

「千葉くん…これ、お祝いになるの?」

千葉くんは優しく微笑んだまま、私の頬を両手ではさみ、顔を引き寄せ、キスをした。

「これは追加だ。」

「千葉くん…私、すごく幸せ…」

「俺もだ…」

しばらくの間、私達はそのまま離れなかった。



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