あなたという奇跡の存在 PAGE.3
そして4月になり、千葉くんは陵泉高校へ私は桃花女子学院高等部へそれぞれ進学した。
高校生になってからも図書館で会うのも続けていたが、今日みたいに大きな公園でのんびり過ごしたりもするようになった。
千葉くんはもちろんサッカー部に入っている。
中学とは格段に違う練習量に疲れている時もある。
私は心配だが、運動の知識がないために何も言うことができなかった。
そんな私の表情を察して千葉くんは優しく微笑む。
「大丈夫だ。これぐらい練習しないと選手権には出れない。…鍵谷、一つお願いがある。」
「何?」
「俺の前では笑顔でいてくれないか?鍵谷の笑顔を見ると、俺はがんばれるんだ。」
千葉くんからの意外なお願いにびっくりした。
でも嬉しいお願いだった。
「うん!わかった!」
ニッコリ笑う私に、千葉くんも優しく微笑む。
「この笑顔を見れるのは俺だけの特権か?」
「もちろん、千葉くんだけだよ。」
千葉くんの大きな手が私の頬を包む。
「樹々、好きだ。」
「私も…」
そっと優しいキスを交わす。
いつまでもこんな穏やかな時が過ごせればいいのに…
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