Kazuki Chiba

SNOW BLIND PAGE.2


帰る途中にある駅前には大きなクリスマスツリーが飾ってある。

噂だが、このツリーの下で愛を誓うと永遠に結ばれると言う。

女の子としては、気になるが、男の子、特に彼はこういったたぐいには関心がないような気がする。

愛の誓いはともかく、ツリーがキレイので、見たくなった私は、寄っていいかと尋ねた。

答える代わりに、ツリーの下へと向かってくれた。

「わぁ…キレイ…」

私が感嘆の声をあげる。

つないでいた手をポケットから出して離し、私を後ろから抱きすくめてくれた。

「あぁ…キレイだな…」

しばらくそのままツリーを見上げた。

真っ黒な空から白い雪が落ちてくる。

「樹々…」

そう言って自分の正面になるように私を向かせた。

「これ…クリスマスプレゼントだ…」

私の左手をそっと取り、静かにリングをはめてくれた。

「嬉しい…ありがとう…私からもプレゼントがあるの。」

彼に差し出す。

「あけてみて?」

「…気にいらなかった?」

何も言ってくれない彼に不安げに尋ねる。

「違うんだ。とても驚いてしまって…」

「驚く?」

私がプレゼントしたのは革製のブックカバー。

本を読むのが大好きな彼にピッタリだと思うけど…

私の指から、さっきはめてくれたリングを抜き、リングの中を指差した。

そのリングには、お互いの名前と
『Lovin'you』
の文字が刻まれていた。

私がプレゼントしたブックカバーにもまったく同じ言葉が刻まれていた。

私は強く抱きしめられた。

彼は私の耳元でそっと囁く。

「ここでこうして君と愛を誓いたかった…」

「私も…」

「いつまでも一緒だ…」

瞳を閉じる。

今も雪は降ってる。

彼のあたたかな唇と私の冷たい唇が重なり溶けていく。



クリスマスツリーは私達に永遠を約束してくれるかのようにキラキラと瞬いていた。





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