Kazuki Chiba

SNOW BLIND PAGE.1


12月。

街はクリスマスムード一色。

しかし、サッカー部マネージャーの私には、無縁のものだった。

今年、陵泉高校サッカー部は冬の選手権に出場する。

のんきに浮かれてる場合ではない。

部活は毎日あるし、選手権のことで頭がいっぱい。

でもホンの少しだけ、楽しみにしていることがある。

それは大切なあの人に贈るプレゼントのこと。

もうすでに用意している。

あの人に喜んでもらえるといいんだけど…



いよいよ今日はクリスマスイブ。

もちろん今日も部活だ。

いつもの通り、一緒に帰る約束をして、私は先に校門で待っていた。

「…遅いな。」

一緒に部室を出た私達だが、鍵を職員室に返しに行くから校門で待ってて、と言われてから、30分…

まだ来ない…

とそこへハァハァと息を切らしながらあの人がやって来た。

「…す、すまない。…遅く…なった…」

肩で息をしている。

いつも冷静で慌てたりすることのない彼の珍しい姿に少しびっくりした。

「大丈夫ですか?そんなに慌てなくても…」

「…いや、随分と待たせたし、今日は特に寒い。風邪でも引かれたら大変だ。…行こうか。」

そう言って歩き出す。

私が横に並ぶと、手をつないでくれた。

「…随分、冷たいな。」

そう言って自分のコートのポケットにつないだ手を入れた。

「あったかい…」

私が微笑むと、彼も微笑み返してくれた。



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