Kazuki Chiba

あなたの言葉 PAGE.2


そして私は陵泉に入学し、サッカー部に入った。

部活初日。

練習前にお兄ちゃんの元へ行こうと探していたら、声をかけられた。

「君、もしかして早乙女の妹?」

(うわぁ…すごく、かっこいい人だな。)

「あっ…はい。えっと、サッカー部の方ですよね?お兄ちゃんを探してるんですけど…」

「早乙女ならあっちにいるよ。一緒に行こうか。」

そう言ってくれたのでついていった。

「サッカー部は君の話題でもちきりだよ。」

「えっ、やっぱり女子が入るってことでですか?」

「まぁ、それもあるけど、早乙女の妹ってどんなんだ?って感じかな?」

「はぁ。」

「正直、びっくりしたよ。君は早乙女に似てなくてかわいいね。」

顔が真っ赤になった。

そんなこと一度も言われたことない。

(お世辞うまいな。)

そしてお兄ちゃんのところまでやって来た。

「樹々。探してたんだぞ。何だ、神坂も一緒か。」

私はお兄ちゃんの言葉にハッとした。

(名前、聞いてなかった。)

「すみません。私、自己紹介もしなくて…早乙女樹々です。よろしくお願いします。」

頭を下げる私にニッコリ笑って答えてくれた。

「俺は神坂龍之介。お兄ちゃんと同じ2年だ。よろしくね、樹々ちゃん。」

そして神坂先輩はお兄ちゃんの肩にもたれかかる。

「なぁー、早乙女。お前、どうしてもっと早く樹々ちゃんを俺に紹介しなかったのかな?お前と違ってかわいいじゃん。」

「神坂、できることならお前には知らせたくなかったんだよ。言っとくけど、樹々には手ぇ出さないでくれよ?」

「それは約束できないよ。お前と違って樹々はかわいいからね。」

「神坂〜!俺と違うってばっか強調すんな〜!」

お兄ちゃんと神坂先輩がワイワイ騒いでいると私の後ろから声がした。

「なんの騒ぎだ?」

振り返った私の後ろから、お兄ちゃんの声が飛ぶ。

「千葉〜。助けてくれよ。神坂が俺の妹に手ぇ出すって言うんだぜ?」

「お前の妹?」

そう言うと私をジッと見つめる。

私は恥ずかしかったけど、目をそらさずに見つめ返した。
と言うか、動けなかった。

「そうか。君が早乙女の妹か。俺は主将の千葉だ。よろしく。」

「さ、早乙女樹々です。よろしくお願いします。」

「樹々さん、君が女子だからと言って特別扱いしない。練習は厳しいけど一緒にがんばろう。」

「はい!」

私は笑顔で答えた。

やっと会えた…

ずっと会いたかった。

『一緒にがんばろう』と言う言葉が私の心に深く刻み込まれた。



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