Kazuki Chiba

LOVE DETERMINATION
最終章 purposeful PAGE.4


俺の目の前には、西園寺慎太郎氏が座っている。

西園寺家頭首で雅季達の父だ。

以前より業務提携と西園寺グループ傘下への誘いを受けていた。

今日は最終的な合意確認の日だ。

やはり俺が睨んでいた通り、IT関連に弱いこともあり、こちらに有利な条件で交渉にあたっていた。

やがて最後の確認事項も終わった。

慎太郎氏が握手を求めたところで俺は言った。

「もう一つ条件があります。これは書面にはないことですが…」

「何かね?言ってみてくれたまえ。」

俺は秘書に合図をした。

扉が開き、雅季に連れられて樹々が入って来た。

なぜかイタリアに行っているはずの雅弥も一緒だ。

「お前達…」

慎太郎氏は驚いている。

俺は立ち上がり樹々を隣に並ばせた。

「樹々さんと結婚させてください。これが最後の条件です。」

「お父さん、お願いします。」

俺と樹々は頭を下げた。

「それは認められない。」

俺は青ざめた。

このためだけにがんばってきた。無理もしてきた。

樹々にも寂しい思いをさせた。

全ては無駄だったのか…

「父さん!」
「親父!」

雅季と雅弥が同時に叫ぶ。

「父さん、一樹さんは…」

慎太郎氏は雅季の言葉を遮る。

「私は大切な娘を取引で使われたのが許せなかったんだよ。幸せな結婚をして欲しいのは親として当然だ。だから取引ではなく、普通にお願いをしてくれないか?」

「わかりました。条件ではなく、千葉一樹としての個人的なお願いです。樹々さんと結婚させてください。お願いします。」

もう一度樹々と二人で頭を下げた。

「千葉くん、私からもお願いするよ。樹々ちゃんを幸せにしてくれたまえ。」

慎太郎氏は笑顔で答えてくれた。

「ありがとうございます。必ず幸せにします。」

雅季と雅弥は俺達に祝福の言葉をかけてくれた。

「一樹さん、樹々。おめでとう。」

「雅季、お前のおかげでここまでこれた。本当にありがとう。」

「一樹、樹々、よかったな!」

「雅弥、ありがとう。いつ帰って来たんだ?」

「雅季から連絡もらってさ。慌てて帰って来たんだぜ!空港から直行!」

雅弥がニカッと笑う。

そして雅季が眼鏡を上げ、意地悪く微笑みながら言う。

「ところで一樹さん。僕と雅弥は君の兄になるんだよね?じゃあ、これからは敬語で…」

俺は笑いながら思い返していた。

叶わなかった夢とあきらめた夢。

それを乗り越えて手にした新たな夢。

全ての原点はあの河原にあるということを…



LOVE DETERMINATION
終わり



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テーマ「人外ファンタジー」
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