LOVE DETERMINATION
第2章
充実の交差点(side Saionji) PAGE.4
選手権開幕。
インターハイの勢いも手伝い、予選を難なく突破し本選も順調に勝ち進む。
今日、この試合を勝てば国立だ。
ここまで0―0の同点。
ところが後半、雅弥が相手チームの選手と接触し、右足を負傷して交代を余儀なくさせられる。
攻撃の要を失い、防戦一方だ。
ついに点を入れられる。
そしてそのまま、試合終了。
国立を目の前に俺の夢は消えた。
学校に戻り、一人部室にいた。
ここまでこれたのは雅弥がいたからだ。
俺はプロでは通用しない。
今日の試合で思い知らされた。
呆然として動けずにいた。
その時、部室のドアが開いた。
「一樹さん…」
「樹々さん…どうしてここに?雅弥に付いて行ったんじゃないのか?」
「雅弥くんから伝言があって…」
「伝言?」
「俺がケガしたから負けた。あと一歩で国立だったのに…一樹さんは最後のチャンスだったから申し訳ないって…」
「樹々さん…雅弥には感謝している。ここまでこれたのは雅弥のおかげだ。俺は礼を言いたい。戻って雅弥に伝えてくれないか?」
彼女は首を横に振る。
「今は一樹さんのそばにいたいの。少しでも力になりたい…私、一樹さんが好き…」
俺は彼女の口にそっと手を当てた。
「それ以上は言わないでくれ。」
彼女は目に涙をためていた。
「一樹さんは、私のこと、嫌いなの?」
「もちろん、嫌いではない。でも俺は君の気持ちに応えられない。」
「どうして?」
「西園寺家の令嬢と付き合うにはそれなりの地位が必要だ。俺にはその資格がない。」
「一樹さん…もしも私が西園寺じゃなかったら?」
「もしも…何てことはあり得ない。」
「お願い!一樹さんの気持ちを聞かせて?でないと私…」
彼女はその場に崩れ落ちた。
「………俺は君のことが好きだ。」
言葉に出した途端、俺の心の中が変わった。
今まであきらめていた気持ちを押さえ込み、彼女が欲しい、手に入れたいと。
俺は泣き崩れる彼女を抱き締める。
「樹々。俺は君にふさわしい人間になる。そのためには時間が必要だ。それまで待っててくれないか?」「………本当に?待っててもいいの?」
「あぁ、待っててくれ。寂しい思いをさせることになるが、必ず迎えに行く。」
樹々にキスをした。
俺の心の中と同じぐらいに熱く、激しく…
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